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故郷

先週、久しぶりに実家の墓参りをした。
父母の墓前で無沙汰(ぶさた)をわびながら、ふと横を見ると、
知人の家の墓が消えている。
遠方に住む家族が自宅近くの墓地に移したらしい。
 
近ごろは骨や墓を移す「改葬」や寺に永代供養を依頼する人が
増えているらしい。墓参りの代行サービスもあるそうだ。
以前は帰省の家族でにぎわった実家周辺がひっそりしていた。

途中、大分県臼杵(うすき)市にある「臼杵石仏」を訪ねてみた。
天然の岸壁に彫刻した磨崖仏(まがいぶつ)としては1995年、
全国初の国宝に指定された名所だ。その数59体。
巨大な石仏が並ぶ荘厳さに、ただただ圧倒された。

その中の一つ、高さ3メートル近い大日如来坐像の近くにある
立て看板を見てハッとした。
縁結びや合格祈願などと並んで、「リストラ除(よ)け」の文字だ。
ガイドの説明はこうだった。
石仏の頭部が長い間地上に落ちていたのを、1993年に修復して
「首がつながった」。それにあやかったとのことだ。
 
ちょうどバブル経済がはじけた後のことだ。
なるほど、と思いながらも複雑な思いに駆けられる。
一昨年の12月初めに大企業が人員削減を発表した。
懸命に石仏に手を合わせた方々の姿が目に浮かぶ。

臼杵石仏は平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫像されたという。
何百年も世の動きを見つめてきた石仏の目には、
現代人の所業がどんなふうに映っているのだろうか。

(M.N)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年09月06日 10:01

景気回復

先日、大学で教べんを執る知人の先生と
居酒屋で一緒になった。
お互いの近況報告の後、先生が急に真顔で
「今の学生は就職できずかわいそうだ」と言う。
話を聞くと
入社試験を受けさせてくれるのはいい方で、
採用枠がないので会社訪問されても困ると
門前払いの企業も少なくないそうだ。

「学生も決してえり好みをしているわけではない。
希望職種を変更しながら探しているが、この不況では・・・」
と先生も困惑気味。
 
この時期、大学生は夏休み。
普通なら学生生活最後の夏を謳歌しているはずが、
就職が決まらず心の中は不安でいっぱい。
卒業後の生活はどうなるのかと、焦燥感だけが募る日々
を送っているのかと思うと、気の毒になる。
 
先の参院選では与野党こぞって景気回復を挙げていたが、
今のところ公約倒れ。とにかく一刻でも早く
若者が安心して働ける雇用創出をお願いしたい。
それには地方分権を進め、地域経済の活性化が
何よりも大事になってくると思う。

(社長)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月29日 18:04

沖縄県の喜び

興南高校の快挙に続き、
ゴルフの宮本藍選手が米女子ツアーで今季5勝目を飾った。
日本ジュニア選手権では比嘉美子選手が
15~17歳の部で優勝を果たすなど、
沖縄の若者たちの活躍が続いている。
 
宮里選手は初日からトップを譲らない完全優勝で、
実力の高さを証明した。昨年の初優勝から順調に勝利を重ね、
日米通算20勝目。賞金ランキングのほか、
最大の目標とする世界ランキングも首位に返り咲いた。

米ツアーに本格参戦後はなかなか勝てず、初勝利は4年目。
2年間の大スランプも経験した。今季の躍進は、
勝てない時期に積み重ねてきた努力があってこそだろう。

興南の我喜屋優監督は、今春の選抜大会優勝後に
「花を支えているのは枝。枝を支えているのは幹。
幹を支えている本当に力強いのは目に見えない根っこ。
もう一度根っこづくりから始めよう」と選手に語ったという。

北海道で長く生活してきた経験から「表でワーワー言っているのは
大したことはない。下で耐えている半年の冬が源になる」とも語った。

上に向かって伸びていけない時期は誰にでも訪れる。
その時にいかに根を育てるか。根が深く、大きく張るほど実りも豊かになる。
結果にばかり目がいきがちだが、それを支える
目に見えない努力の大切さを教えてくれた。

(M.N)


 


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月26日 21:13

季節の針

カレンダーも、後8日で9月というのに猛暑だ。
ここまで続くと体も耳も慣らされたのか、
最高気温が35度と聞いても驚かない。
「今日も暑そう」で済ませてしまう。

しかし猛暑でも「季節の針」は進む。
田んぼでは、黄金に実った稲の刈り取りが始まったようだ。
わらのにおいが漂う刈り田には、落ちたもみを食べようと
ハトが集まっていることだろう。
間もなく新米が親戚の農家から届けられそうだ。

猛暑で不漁とされるが、新米に合うといえば、やはりサンマだろう。
北の海では餌を食べ、丸々としたサンマはうまい。
ちょうど四国のスダチも出回り始めた。
炭火で焼いたサンマにスダチをぎゅっと搾れば最高である。

そんなことを想像しながら夜、外に出ると、もう秋だ。
涼しい風が肌をなで、草の中からはコロコロコローという
コオロギの鳴き声が聞こえてくる。
昼とは打って変わった別世界だ。
 
日本人はセミの種類を鳴き声で聞き分け、
コオロギの声で秋を感じ取る。これに対して、欧米人の多くは
虫の声を耳にしても雑音にしか聞こえないとの話もある。
心地よいコオロギの声が雑音では、もったいない気がする。

さて自然界は小さい秋が見えてきたが、政界はどうだろう。
秋どころか、これからますます暑くなるー。
9月1日告示の代表戦を控えている民主党からは、どんな声か。

(M.N)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月24日 07:57

ふるさと

8月はふるさとを思うつきだ。お盆、お墓参りと。
降るようなセミの声、祭りや花火、同窓会もある。
田が日一日と実りの季節に近づく。
スイカ、トウモロコシ、ナスに枝豆、冷えたビール。
青空と入道雲、そして深い夜空。

最近、夏の風情の今昔を思う。勢力を増したのは暑さ。さ
っぱり見かけなくなったのは蚊帳とラジオ体操だろうか。
防犯上、夜間は窓を開け放つことがなく、エアコンも普及し、
蚊帳を用いる機会がない。真夏の風物詩だったラジオ体操も、
子どもたちの姿は少ないようだ。

子どもが小学生のころ、眠たい目をこすりながら
近所のラジオ体操会場に出向き、出席印をもらって喜んでいた。
ところが電通リサーチが実施した小学生の夏休みの過ごし方調査
(2008年=関東、関西)によればラジオ体操は
親子の世代格差が大きく、親世代の実施率は71,5%だったのに
小学生はほぼ半減しているそうだ。

少子化が響いていそうだし、結果的に地域のコミュニケーションの
希薄化に結びついているようにも思える。むしろラジオ体操は、
今では中高年の健康維持の手段になっている。

入道雲に対する見方も変わってきている。
昔日は、わき立つ雲は夕立を呼び、涼風を運ぶものだった。
しかし、現代はゲリラ豪雨の元凶視されるようだ。
自然が変わり、それを受け入れる心情も変わる。

そうした中で変わらないであろう、ふるさとへの思い。
私も、なかなかお盆に行けないので遅まきながら
帰省し墓参りと旧友と語り合い、ふるさとを見つめてみたい。

(M.N)
 
 


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月17日 08:10

国会議員の先生

参院の予算委員会で、みんなの党の川田龍平議員が
管直人首相を「管さん」と呼んでいられた。
国会の会議では、大方の議員は首相を「総理」と呼ぶ。

ある国会議員秘書は「薬害エイズ事件を共に戦った仲間として
親近感があるのではないか」と推測していた。
やりとりを振り返ると、川田議員は首相をあえて「さん」付けで
呼んだのかな、という気もする。
いずれにせよ、さん付けは新鮮に思えた。

国会議員はプライドが高い。「先生」と呼ばないと機嫌を悪くする人が多い。
大臣になれば「大臣」、総理大臣になれば「総理」と呼ぶのが無難だ。
 
ある総理大臣が就任直後、担当記者から「総理」と呼ばれると
「『○○さん』でいいよ」と言ったという。しかし、
そのうち「○○さん」では返事もしなくなったそうだ。

以前、県内の国会議員が選挙の決起大会で、
ゲストの先輩議員をさん付けで紹介し、「国会議員を先生などと呼ぶから、
政治が駄目になるんです」と説明された。しかし当の議員も
やがては「先生」と周囲から呼ばれていたようだ。

国会議員になるための選挙はつくづく難儀だと思う。
常人は為し得ない選挙の試練をくぐり抜けただけでも
「先生」と呼ぶに価するかな、と個人的には思っている。
だが、それだけではやはり寂しい。

(M.N)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月16日 18:34

扇風機

夕顔。ひまわり。ふうりん草。松風。
昭和30年、40年代は草花の名を打った扇風機が多かった。
羽根は明るい若葉色や薄青色が主流だった。
とにかく「涼を感じて」という心意気がにじんでいた。

エアコン全盛期でも、しぶとく生き残る身近な生活家電だ。
いま、目の前でも小型の卓上扇が風をくれている。
近ごろは黒や白、銀の無彩色が好まれるようだ。
寒色系よりも冷たく感じるから不思議だ。
人の趣向は変わるものだ。

むしろ戦前は黒一色だった。はやりの呼び名は「電気扉」。
1927年の業界団体の冊子に、そう呼ばないと時代遅れだとまで
言わしめている。(大西正行「生活家電入門」技報堂出版)

江戸時代には手車で数枚のうちわを回転させるカラクリがあったらしい。
隔世の感があるのは、話題の羽根のない扇風機だ。
ぬれた手を温風で乾かすエアタオルと同じ原理を用い、
圧力差で回りの空気を集めて風を送り出す仕組みらしい。

リング型の奇抜なデザインだ。扇のない姿を扇風機と呼べるのかは別として、
固定観念を覆す発想は、ぜひ政治も見習いところ。
ねじれを生かす知恵を絞りきれないまま臨時国会は閉じた。
確かに熱いが、空気はよどむ。まさに風死す印象だ。

(M.N)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月12日 13:08

スイカ

赤いスイカが食卓にあると「日本の夏」を実感する。
冷やしたものに塩を振ってほおばれば暑さも忘れる。
冷やすほど甘みが増すというから、まさに夏にぴったりである。

スイカは「夏の果物の王様」といわれている。
買うときは指でたたいて、その音の響きで熟れ具合を見る。
音が鈍いようだと熟れすぎとされる。
スイカに対しては、こうした認識を持っている人が
多いのではなかろうか。

ただ、スイカが果物かというと、そうでもないようだ。
農林水産省のホームページによると、生産や出荷の
統計をとる上でスイカを野菜に分類している。
果実的な利用をすることから「果実的野菜」として扱っているという。
 
では、野菜と果物をどう分類するのか。
一般的には、田畑で栽培、副食物、草本姓といった特性を持つ
植物を野菜としている。だが、はっきりした定義はないという。
ちなみに、イチゴやメロンも「果実的野菜」である。

さて、スイカのうんちくはこれぐらいにして立秋も過ぎた。
暦の上では秋の始まりだ。暦の上とはいえ、
不思議なことに秋という文字をパソコンで打つだけで、その気分になる。

だが、現実の世界はうだるような暑さが続いている。
こまめに水分補給しないと熱中症にもなりかねない。
秋とは名ばかり。しばらくは「夏の果物の王様」のお世話になりそうだ。

(M.N)
 


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月09日 07:39

古刹巡り

歴史好きの「歴女」や、著名人のお墓を訪ね歩く
「墓萌(も)え」などの造語が、ここ数年の若い女性を
中心としたブームを象徴している。
古刹(こさつ)巡りや仏像のファンも増えているようだ。
特集を組む雑誌、本が書店でも目立つ。
 
先日、都内で開催中の仏教美術を紹介する二つの展覧会に行ってみた。
どちらも女性が特別多いというわけではないが、
幅広い年齢層でにぎわっていた。
仏像のどこに人々は引きつけられるのだろうか。

根津美術館(南青山)は「いのりのかたち」展。
重要文化財の「金剛界八十一尊曼荼羅(まんだら)をはじめとする
密教絵画や来迎図、説話画などが、ホールや庭園の石仏群とともに
崇高な美の空間を構成していた。
 
三井記念美術館(日本橋)の「奈良の古寺と仏像」は、
平城遷都1300年を記念した特別展。
飛鳥から室町時代の仏像、仏教工芸品の名品が一堂に集まり、
その織細な造形美に魅了された。

いずれの展示も、信仰によってはぐくまれてきた美の世界が
重厚な存在感を見せる。
現世では煩悩や物欲に無縁というわけにもいかず、将来は不安だらけ。
現実社会を離れ、自分自身を静かに見つめ直すよい機会だった。

仏像や仏画の前に立てば、そこには穏やかなまなざしとともに、
戒め、教え導く厳格な表情だ。
信仰の対象としても、そうでない人にとっても、
何か新しい発見があるように思う。
父から、仏像はまなざしを見るよう何十年前教わったことを思い出した。 

(M.N)

 


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年08月05日 10:50

熱中症

「帽子をかぶっていないと、日射病になるぞ」。
夏になると、こんなふうに、大人たちから注意されたことだった。
炎天下、麦わら帽子にランニングシャツ、網を手にセミを取り、
トンボを追った日を思い出す。
 
年配者になじみ深い日射病に代わるように、
1990年代から広く使われ始めたのが熱中症だ。
屋外だけでなく、室内でも起こり得る。
全年齢で発症するが、高齢者が重篤になりやすい。
日射病では病態を誤解されかねない。そんなことが理由という。
 
熱中症が気温の上昇と比例するのは言うまでもない。
記録的な猛暑に見舞われた2003年のフランスでは、
死者がが高齢者を中心に1万人に達した。
わが国でも、やはり猛暑だった07年に900人を超す人が
熱中症で亡くなっている。しかも8割が60歳以上だ。
 
高齢社会に追い打ちをかけるような地球温暖化である。
このままだと、今世紀には熱中症の死亡リスクが
4倍近くに上昇するという予測もある。こども時代と重なる、
かっての日射病イメージは消した方がよさそうだ。

今夏も梅雨明けと同時に、各地で猛暑日を記録するなど
水銀柱はうなぎ上り。
畑仕事のお年寄りら熱中症による死者も報道されている。
海へ山へ若者たちには待ちに待った夏も、
高齢者にはいささか過酷だ。

日差しのきつい日中は水分を十分とって室内で涼しく過ごす。
今年はそんな夏になりそうである。

(M.N)


| コメント (0) | 投稿時間 : 2010年07月24日 18:35

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