Home > Archives > 2013年7月 Archive
2013年7月 Archive
豪雨の恐怖
- 2013年7月31日 18:39
- M.N氏の岡目八目
山口県や島根県で豪雨被害が拡大している。
気象庁が出した「これまでに経験したことのない大雨」
という表現が尋常ではない気象状況を象徴している。
ある研究者は「400~650年に1度の雨」としている。
日本海上空に「寒冷渦」と呼ばれる低気圧が発生し、
そこに暖かく湿った空気が流れ込んだのが原因だそうだ。
今月中旬に東北で発生した豪雨も似た現象らしい。
1時間当たりの雨量が10~20㍉では「ザーザー」
という音がする「やや強い雨」。30~50㍉で「バケツを
ひっくり返したような雨」。50~80㍉では「滝のように降る」。
山口県萩市では28日、1時間に138・5㍉が降った。
これは「息苦しくなるような圧迫感」がある降り方という。
住民の恐怖は想像に余りある。
今夏は深刻な電力不足が予想されていないため、
「節電」のムードは昨年よりは低調だ。だが、温暖化
による地球の病は確実に進行している。時折の豪雨は
その警告に思えてならない。
デトロイト市
- 2013年7月27日 12:30
- M.N氏の岡目八目
米国自動車産業の"聖地"として自他共に認めてきた
デトロイト市(ミシガン州)が破産申請したというニュースに驚き、
隔世と無常のダブル感に打たれた。それはおごったわけでは
ないだろうに。しかし何かと見誤ったとしか思えない。
日本ではまだ車が高嶺の花だった当時、一家に一台と言われた
米国の普及率を受けて華やかな脚光を浴びていたのが
デトロイト市だった。フォード、ゼネラルモーターズ、クライスラーの
いわゆるビッグスリーがしのぎを削り、「モーターシティ」との代名詞を
奉られた同市は一時180万人の人口を誇ったという。
その聖地をおびやかすようになったのが、モーターライゼーション
(自動車化)では、はるか後発であった日本だったというのが、
米国版「平家物語」の数奇な展開なのだ。取るに足らない相手だった
日本車があれよあれよという間に市場を席巻、気がついた時は
外堀が埋まっていた。
負担総額は邦貨にして約1兆8千億円に達し完全に財政破綻した
同市の現在の姿をテレビが映し出していたが、ゴーストタウンと化した
工場街や荒れ放題の公園などが、かっての栄華をしのばせて
一層哀れに見える。国がどのような救済策を講じるのかは分からないが、
夕張市の例を引くまでもなく限度はあるだろう。
デトロイトの労働者が攻撃の標的として日本車を叩き壊していた
当時の映像を思い出し、水鳥の音に驚いて逃げ出す前に、敵は何か
と考えていたらこういう結果にはならなかったろうにと、凋落の根源
を考えて見た。
NHK朝ドラ『あまちゃん』。
- 2013年7月21日 17:05
- M.N氏の岡目八目
高視聴率をはじき出すNHK朝の連続ドラマ『あまちゃん』。
毎朝欠かさず見ているわけではないが、フラッシュバックされる
昭和59年当時の雰囲気につい感情移入してしまう。
脚本の冴えだろう。テンポが速く面白い。さらに演じる俳優陣が
かってのアイドルでもあり、劇中劇の趣もある。おそらく40歳以上なら、
主人公の母親役小泉今日子と大物女優役薬師丸ひろこの
2大アイドルの人気度はリアルタイムでご存じだろう。
ドラマは半年間のため、残り2ヶ月少しになったが。東京での
沈滞ムードを引きずった主人公が北三陸で迎えた平成22年
初頭の場面が進行している。おそらく終盤に向けて、東日本大震災の
悲劇も不可避なテーマになるのだろう。
同番組では、灘の造り酒屋を舞台にした『甘辛しゃん』が
阪神・淡路大震災を取り上げたことがある。今後、刻々と迫る
未曾有の大災害をどのように描き切るのだろうか。
震災発生2年半近いが、心穏やかではない。
土用の丑
- 2013年7月21日 17:01
- M.N氏の岡目八目
土用の丑の日が近づいてきました。ウナギのかば焼きは、
数ある魚料理の中でも味わいや香りに格別のものがあります。
この時期になると、何としても食べたくなるのが人情です。
年中食べても飽きないという熱狂的なファンが、ウナギには
多いようです。歌人の斎藤茂吉氏は、長男の見合いの席で、
相手の女性が手を付けないでいたウナギをもらい、食べて
しまったことがあるそうです。
将棋の加藤一二三九段は、出前の早さや栄養面の利点を理由に、
対局のたびにウナギを食べることで知られています。
こうした逸話を聞いているだけでも、ウナギにかぶりつきたく
なってきますが、各界の名士に比べてこちらは圧倒的に
懐具合が寂しいのが、悲しくも現実です。よって、自動的に
年に1、2度の楽しみとなります。
しかも最近では国産種だけでなく、欧州産の別種の稚魚が
減っており、クジラという先例を考えた時に、中長期的な資源量の
管理の厳格化も懸念されます。
庶民の味方としてサンマやアナゴのかば焼もありますが、
おいしいのですが、やはり別の魚です。ウナギを存分に
楽しめる日がいつまでも続くことを願っている一人です。
ウイスキーの味わい
- 2013年7月19日 12:46
- M.N氏の岡目八目
酒が好きだった父は、晩酌で安物のウイスキーを
ちびりちびりと飲んでいた。たまに高級ウイスキーが
手に入ると、飲み終えた空き瓶にいつものウイスキーを
詰め替えていた。中身は安物でも、いい気分で
飲めたのだろう。
バブル花盛りの1990年時代、関東ではボトルキープ
といえばウイスキーだった。同じころブランデーが好まれた。
どこのスナックの棚にも、VSOPやナポレオンがずらりと並んでいた。
やがて日本酒ブームが到来し、全国の地酒が身近な居酒屋で
飲めるようになった。個人の好みで言えば、辛口のさっぱりした酒が
口に合う。それぞれの酒の古里に思いをはせながら味わうのがいい。
次にきたのが焼酎ブームで、いまも居酒屋では主役の座にある。
ロックでも湯割りでもいけるし、女性好みの甘いカクテルもある。
「とりあえず」のビールは別格として、焼酎抜きの酒席は
考えられないほどだ。
そのあおりでウイスキーの需要は低迷していたが、炭酸水で割る
ハイボールのヒットで人気を盛り返してきたという。確かに居酒屋では
飲む機会が増えた。とはいえ酒店ではまだ、売り場の片隅に
追いやられている。
久しぶりぜいたくして、ストレートでおいしく飲めるシングルモルトの
小さなボトルを買った。たるの中で10年間熟成された味はまろやかで、
強めのアルコールがすっと鼻から抜けた。流行に左右されない
ものづくりも大切だと気持ちよく酔いながら思った。
政治の役割
- 2013年7月16日 11:15
- M.N氏の岡目八目
政治の大きな役割の一つに、社会保障がある。私たち一人一人が
安定した生活を続けるために、国や自治体が所得を、こちらから
あちらに移すことによって、年金、医療、介護、育児などのサービスを
行う制度だ。
今日ほど、社会保障が叫ばれる時代はない。というのも、
少子高齢化が急速に進行し、高齢者に充てられる給付額が増大
しているからである。国全体で毎年3兆円増え続け、いかに財源を
確保するかが、最大の課題と言える。世代間負担の公平を図り、
持続可能な制度にしないといけない。
ここまでは、多くの人たちが共通認識を持っているのだが、
わが身に降りかかってくると、保険料、税は引き上げてもらっては困る。
しかし、保障費はもっと充実させてほしい、と思ってしまう。参院選
で各党、社会保障をどう改めようとしているのか。
公約を見ると、「消費税は社会保障に使う」(自民)「最低保障年金の
創設を目指す」(民主)「公的年金は積み立て方式に移行する」(維新)
「税と社会保険料を一元管理する庁を設ける」(みんな)などで、
改革の道筋はわかりにくい。安心して老いてゆける社会はどこに、である。
心に柱を
- 2013年7月12日 08:16
- M.N氏の岡目八目
報道された写真を見ると、塔(とう)のあった跡に
柱が1本立っている。解体修理中の薬師寺東塔(やくしじとうとう)
の心柱(しんばしら)を取り外す貴重な光景だった。
日本では亡くなった人の命を「柱」と呼ぶ。柱には神が宿る
とされ命の代名詞になった。塔はその象徴だ。高い塔を
支えるために柱を立てるのではない。柱を守るために
壁や屋根が必要なのだ。だから心柱と呼ぶ。柱が命の塔の
本質がわかる写真だった。
中国などの石造(いしづくり)りの五重塔は内部が空洞
(くうどう)になっている。日本の塔とは似て非なるものとされる。
薬師寺東塔の心柱は2本の大木をつないである。上部は
取り換えられたものだが、下部は1300年前のまま。
樹齢(じゅれい)は1500年と推測される。
樹齢千年の木で建てた塔は千年の風雪に耐える。
千年の木を育てる森林ができるには「千年かかる」という。
薬師寺復興に関わった宮大工、西岡常一(にしおかつねかず)
さんの言葉である。
立派な塔には立派な木材が、いい木材を育てるにはいい森林が
必要だ。民主主義に似ている。政治家も有権者も一日では育たない。
遠い先を視野に足元を固めていくのが選挙だ。心の柱を。
党の政策に命を。
信じる
- 2013年7月11日 12:22
- M.N氏の岡目八目
歴史年表をみると、世界ではナチスのベルリン五輪開催、
国内では二・二六事件が起きた。そんな1936(昭和11)年以来の
出来事に英国中が沸いた。テニスのウィンブルドン大会男子で、
マリー選手が英国人として77年ぶりに優勝した。
試合後「勝てないときも我慢し信じてくれた」とコーチに感謝した。
コーチは米国人のイワン・レンド氏だ。テニスファンなら知らない人は
いない、往年の名選手だ。信じて待つ師匠と、それに応えた弟子。
そう書けば、米英の師弟なのに浪花節の雰囲気が漂う。
77年ぶりとまではいかないが、大相撲は久しぶりの日本人横綱
誕生の期待に沸く。加えて注目されるのが八百長問題をめぐる
裁判で勝訴し、土俵に帰ってきた蒼国来(そうこくらい)と、初の
アフリカ人関取の大砂嵐(おおすなあらし)だ。
初日から黒星が続く蒼国来に対し、師匠の荒汐親方は
「きょうよりあした」と話し、こちらも一貫して信じて待つ構えで臨む。
期待に応えて昨日、蒼国来は待望の白星を手にした。
白星先行の大砂嵐は昨日の日没から、イスラム教徒のラマダン
(断食月)が始まった。今場所は、日の出から日没まで飲食を
禁じられた状態で相撲を取る。母国エジプトの混乱も気になるだろう。
午前2時に起き日の出まで食べて飲んで土俵に備える。
そんな大砂嵐を、部屋を挙げてサポートする。支えがあるから
踏ん張れる。支える人と支えられる人だ。国籍は関係ない。
願いごと
- 2013年7月 6日 08:27
- M.N氏の岡目八目
近所のスーパーマーケットに、七夕飾りがお目見えした。
客寄せのための営業企画という"今どきの風流"だが、
目にすると季節を感じ、心がほっと和みます。赤や青、黄色の
短冊に子どもたちの願いが書き込まれている。「お花やさんに
なれますように」「アイドルになりたい」「勉強ができますように」
「はあとのおみみのくまさんがほしい」
無垢(むく)な願いに交じって、こんなのもあった。「家族の
みんなが笑顔でいられますように」「じいちゃんの腰が治りますように」。
きっとかなうよ、周囲に気付かれぬようにつぶやいた。
大人たちが願い事を託す参院選が明日、告示される。有権者は
何を願うのだろう。景気がよくなりますように、生活が楽になりますように、
東日本大地震での避難者が早く古里に帰れますように。
世知辛い世の現実にのまれ、願うことすら忘れているかもしれない。
しかし政治とは本来、人々の夢や希望、目標によって形づくられるはずだ。
それが民主主義、と信じたい。
有権者の願いはただし、祈るばかりでなく行動しなければかなわない。
子どもたちの数え切れない願いは、七夕飾りをしなだれさせた。
大人たちの短冊も、たくさん投じられますように願いたい。
有権者に響く言葉を
- 2013年7月 2日 10:09
- M.N氏の岡目八目
「だました人が悪いのか、だまされた私が悪いのか」。
衆院小選挙区定数の「0増5減」に伴う区割り改定法を再可決した
先日の衆院本会議。久々の表舞台だったが、発した言葉は
少々情けなかった。前の首相、民主党の野田佳彦氏だ。
自公民の3党合意だった今国会での選挙制度改革の実現は
先送りに。攻守の立場がかわり安倍晋三首相への悩み節
だったのだろうが、「0増5減」の先行可決に反対した民主党にも
責任はある。通常国会の会期末まで参院議長不信任決議案、
首相問責決議案の応酬と与野党対立むき出し。そのあおりで
電力システム改革を進める電気事業法改正案など重要法案が
廃案になった。国民そっちのけでは、政治不信、政治離れが
進むばかりだろう。
「へいわってうれしいね。みんなのこころから、へいわがうまれるんだね」。
沖縄戦が終結した「慰霊の日」の戦没者追悼式で、沖縄県与群国島の
小学1年生が朗読した詩の一節だ。基地負担軽減を誓う安倍首相
の空疎な言葉と対照的だった。
来る参院選では、憲法改正,TPPの参加、原発再稼動など
日本の将来が懸かる争点がずらり。ぜひ有権者の心に響く
政治家の言葉を聴きたい。巧言にはだまされない。自民党の優勢が
伝えられるが、都議選を見ると民主党の支持回復はまだ遠いようだ。
そういえば、野田氏が愛唱するのは武田鉄也さん作詞の
「思えば遠くへ来たもんだ」とか。<この先どこまでゆくのやら>の
歌詞が身に染みる今日このごろか。
伝承の技
- 2013年7月 2日 08:22
- M.N氏の岡目八目
薬師寺が建った1300年前、今のカンナに相当する大工道具は
なかった。長い柄(え)にナイフのような刃(は)をつけたヤリガンナ
という道具で木を削った。
昭和初期、法隆寺の夢殿(ゆめどの)で厨子(ずし)を
造り替(か)えることになった。古式のヤリガンナの使い手を捜したが
関西にはいなかった。そこで招かれたのが加賀の銅鑼(どら)造りの
初代・魚住為楽(うおずみいらく)さんだった。仏壇造りの
修業もした魚住さんは木工技術にも長けていたのだ。
これは大変なことだった。宮大工の本場の奈良で消えかかった技法が
加賀の工芸の中に残っていたのである。薬師寺や法隆寺が守りぬいた
世界的な宗教遺産と地方の伝統工芸が一本の糸でつながっている
ことを意味している。
井波(いなみ)の木工や輪島や山中漆器(しっき)の木地づくりの
技法と飛鳥(あすか)白鳳(はくほう)期の仏像の木肌に共通するものが
あると言っても不遜(ふそん)ではないでしょう。
古代の匠たちも、今日と同様、日常の家造りや器造りの中で
技を鍛え磨いたに違いない。
先日の同窓会で国宝薬師寺展を参観した友人から人と時をつなぐ
伝承の技に感動したと伝え聞いた。また、ジェクト株式会社
創立者・重太郎さんが生存されていたら、大工道具の歴史を教えて
いただけるのだが。
- Search
- Links