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2013年5月 Archive

横綱昇進

その悔しさを次の名古屋場所にぶつけてほしい。
そう思った稀勢の里ファンは多かったのではないか。
大相撲夏場所千秋楽。稀勢の里が勝ち、白鵬が敗れれば
優勝決定戦にもつれ込む状況だった。が、その前に
力尽きてしまった。

同郷モンゴルの先輩・朝青龍に並ぶ25度目の優勝を
全勝で果たした白鵬は、決して倒れることのない高い壁のようだ。
心技体ともに揺るぎない充実ぶりは大横綱の風格十分である。

一方、稀勢の里の綱取りは来場所以降に持ち越された。
2003年に貴乃花が引退して以来、日本出身力士はもう10年も
横綱から遠ざかっている。白鵬のファンには申し訳ないが、
再び夢を見させてもらいたい。

稀勢の里は04年、その貴乃花に次ぐ18歳3ヶ月の新入幕
年少記録を持っている。「稀(まれ)なる勢いをつくってほしい」
という願いが込められたしこ名の通り、06年には史上4番目の
若さで三役に昇進した。

しかし、そこから足踏みが続く。同時入幕の日馬富士は横綱となり、
小結と関脇、前頭を行ったり来たり。やっと大関に上がったのは
昨年の初場所から。新入幕から42場所での昇進は史上5番目の
遅さだった。

大関になったとき「もう一つ上(横綱)を目指すためには力をつけ、
自分で甘えないでやるしかない」と語った稀勢の里。挫折を
味わった男は、高い壁を破って綱をつかむことに努力され
我々の願いを(横綱)、実現してほしい。

公務員の郷土愛

ご当地をPRする「ゆるキャラ」の中で、熊本県の「くまモン」は
全国屈指の人気者である。関連商品の売り上げは昨年
300億円近くに上がったというから大したものだ。まん丸い目に
赤いほお、メタボ気味のくまモンは2010年に誕生した。
九州新幹線が全線開業する前年で、熊本PRのアドバイザー
になった放送作家、小山薫堂さんが提供したスローガンなどと
ともに発表された。いわば「おまけ」だったそうだ。

それを熊本の知名度アップに生かそうと奔走したのが、
県大阪事務所長だった佐伯和典さんらだ。蒲島邦夫知事に、
「好きなことをやれ」と指示されたという。新大阪と鹿児島
中央間で直通運転が始まれば、熊本は埋没するという
危機感に背中を押された。

展開された企画は、公務員の枠にとらわれないユニークさである。
1万枚の名刺配りやイベントで顔を売り、大阪プロレスでは
場外乱闘に絡んだ。マスコミでも話題となり、蒲島知事も
吉本新喜劇に出演されたとのこと。

「くまモンと仕事をして意識が変わった」と、畑違いのPR作戦に
かかわった職員らは「くまモンの秘密」(幼冬舎新書)に記した。
佐伯さんも「たくましくなった」と部下を評価する。担当を離れても
生きる経験に違いない。ゆるキャラと関係者がともに成長して、
地域も活気づく。地方発の事業として格好のお手本だ。

無事帰国を願い祈る

政治の黒子役が外交舞台に出るのは、歴史においても珍しい。
飯島勲内閣官房参与の北朝鮮訪問は、豊臣秀吉の軍師黒田官兵衛が
衆目の中で動き回っているみたいだ。

当初、だんまりの安倍晋三首相も「全ての拉致被害者の家族が
お子さんを抱きしめる日がやってくるまで、私の使命は終わらない」と、
解決への決意を飯島氏を通じて伝えたことを認めたように聞こえる。

空港で、ぴかぴかの議事堂で序列ナンバー2らに歓待されるシーンが
公式メディアで流された。収まらないのが韓国と米国で、「聞いていない」
と頭を越されて不快感を示す。うまく立ち回られた、日米韓を引き離す
策だと、訪朝に賛否の声が聞かれる。2002年の拉致被害者帰国の時、
舞台裏を回した元外務審議官、田中均氏の著書『国家と外交』を
ひもといてみた。

相手はミスターX。週末に第三国で30回会う。「序列はあまり関係ない。
下の人が一番力を持っている場合もある。最高指導者と話ができ、
了解を取り付けられるかどうか」と明かしている。日本にもしたたかさがある。
今回も本交渉は水面下と見るのは、うがちすぎだろうか。飯島氏は
『代議士秘書』で、雑巾掛けも場数を踏めばエキスパートになれる」と
自負されている。表裏一体で扉をこじ開けられれば越したことはないのだが。

 

 

政治家のニックネーム

有力な政治化には、よくニックネーム(あだ名)が付けられる。
少し古いが、日本でいえば歴代首相のうち吉田茂氏は
「ワンマン」で田中角栄氏は「今太閤}、福田赳夫氏の場合は
「昭和の黄門」だった。

福田氏と同じ群馬県出身の中曽根康弘氏は「風見鶏」。
小渕恵三氏は「冷めたピザ」と酷評された。ほかに
三木武夫氏は「バルカン政治家」。安倍晋三首相の祖父に
当たる岸信介氏は、その風貌から「昭和の妖怪」などと
呼ばれていた。

海外の政治家や政府高官も面白し。米国のセオドア・
ルーズベルト元大統領は「テディ」。熊の縫いぐるみの名前の
もととなった。英国のサッチャー元首相は「鉄の女」。
女性初の米国務長官を務めたオルブライト氏は自ら
「モナリザ」と名乗った。

「森の木イチゴ」なるニックネームが付けられたフランスの
国家元首が今、支持率の低迷で頭を抱えているらしい。
現職だったサルコジ氏とのし烈な戦いを制し、1年前に就任した
オランド大統領である。

社会党出身者としては、あのミッテラン氏以来、17年ぶりに
政権を担った。だが、国民の大きな期待とは裏腹に、景気と
雇用環境は悪化の一途をたどるばかり。これが響いて支持率は
25%と、最低の水準まで急落しているそうだ。

国民が命名した「森の・・・」の意味は、小さくて目立たないー
との意。ほかに「プリン」とも呼ばれ、こちらは優柔不断に揺れる・・・から。
極め付きは高所得への75%の課税を決めて「ムッシュ75%」。
この結果、不支持率も75%とは何とも皮肉だ。

スマートフォン

最近の新聞広告やテレビCMを見ていると、携帯電話の広告は
ほぼ全てが多機能携帯電話のスマートフォンだ。「スマホ」の
愛称で呼ばれ、いまや携帯電話といえばスマホを指すほど。
愛用者からみれば今更だが、簡単に言えば、従来の携帯電話に
パソコン機能が付いた優れたものだ。

高付加価値を売りに、販売台数は今年の第1四半期(1~3月)、
ついに一般的な携帯電話を超えたようだ。だが、操作方法の
煩わしさもあって、電話とメールが使えれば十分という「アナログ派」
としては、従来機種からスマホに買い換えるきっかけを見いだせないでいる。

周りの主流はスマホになった。ただ、完全に使いこなしている人は
ほとんどいない。親しい友人は「長所、短所いろいろ。まあ、ポケットに
入る電話付きパソコンと思えば便利ですよ」と教えてくれた。
弱点は毎日のように充電しなければならないバッテリーという。

数日前、大手情報通信会社が操作方法を簡単にした新機種の
シニア向けスマホを、夏商戦に投入するとの新聞記事を読んだ。
今後は他社も追随していくだろうが、衰え気味の目と頭でも
使えるのであれば、一度試してみたくなった。

母の日

巣から落ちたスズメのヒナに犬が近づくと、母スズメが
犬の前に舞い降りて、小さなくちばしで猛然と犬を攻撃するのだ。
犬はたじたじと後ずさりして、その場を去っていく。
ヴィクトル・ユーゴーは「女は弱し、されど母は強し」と言う
名言を残したが、まさしく「母は強し」の一場面と言える。

旧ソ連で守旧派がクーデターを起こした際、その戦車の前に
スクラムを組んで立ちふさがったのは、若い戦車兵と同年配の
息子を持っていそうな女たちだった。戦車は前進できなくなった。
こちらはフィクションではない。ニュースで何度も映像が流れた。
 
ユーゴーの「女は弱し」には議論があるかもしれないが、
母になった女性の強さには異論はなかろう。10カ月と10日に
わたっておなかの中で育て、おぎゃあと生まれたら夜中も
明け方もなく、一定時間間隔で授乳する。重労働といっていい。
乳幼児には最大の保護者であり、長じて郷里を離れても
母親の手料理「お袋の味」は忘れ難い。

意識しようがしまいが、母親の世話にならなかった人間は
まずいなかろう。母の愛情に素直に感謝しよう。
手元不如意なら「いつもありがとう」のひと言に心を込めればいい。
昨日は「母の日弁当」を家内、娘、孫2人と一緒にしながら、
母親のありがたさを語ってみたが。

政治の知恵

政治がこんなに杓子(しゃくし)定規で日本は大丈夫なのだろうか。
きのう参院本会議で自民党の川口順子(よりこ)環境委員長の
解任決議案が可決された。参院の許可を得ずに中国訪問を延長
したため、委員会が中止になった。だから、委員長として不適格だという。

川口氏は遊んでいたわけではない。中国外交を束ねる要人との
会談が急に入り、野党側に期間延長を申し入れていた。だが、
理解が得られないまま、滞在を延長し、会談に臨んだという。

確かにルール違反には違いなかろう。とはいえ、日中間系は
尖閣諸島問題で悪化し、対話も途絶えがちだ。中国外交のトップと
話すチャンスは逃せない。そう元外相の川口氏が考えたとしても、
大方の人は理解できよう。だれでも中国要人と会談できるわけではないのだ。

それが委員長を解任されるほどの罪なのかどうか。委員会は
委員長代理を立てて開けなかったのか。そもそも野党はなぜ延長を
了解しなかったのだろう。議員外交があってもいいはずだ。

「日本に沖縄の領有権はない」。先日、中国共産党機関誌は
こんな論文を載せた。中国が求める領土は尖閣諸島どころではない。
その中国と日本は経済面で深い関係にある。共存していくため、
政治の知恵がますます必要になるのではないだろうか。

日本とトルコの縁

日本とトルコの縁は深い。120年ほど前、トルコ軍艦が
日本からの帰途、和歌山県の離島沖で座礁し、沈没した。
島民たちは乗組員を背負って断崖を上がるなど必死の
救出活動を行い、乗務員656人のうち69人が助かったという。

上州沼田藩(群馬県)出身の山田寅次郎さんは
「遺族が気の毒だ」と、義援金5千円を集めて届け、トルコの人々を
感激させた。現在の価値で1億円ほどとか。日本が日露戦争で
勝利すると、ロシアと対立するトルコの親日感情はますます高まった。

両国の絆はイラン・イラク戦争でさらに深まった。
イランには日本人社員や家族が取り残され、絶望感に
打ちひしがれていた。その時、トルコが危険を顧みず旅客機を手配し、
200人を脱出させてくれた。軍艦沈没の時の恩を忘れていなかったのだ。

そのトルコのイスタンブールと東京都が2020年夏季五輪招致を争う。
それで競争意識が出たか、猪瀬直樹東京都知事が「イスラム教国が
共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」
などと失言したという。軽率と言うしかない。

だが、猪瀬知事の発言への謝罪をトルコの担当相がすぐに
受け入れたというからホッとした。これも友好の歴史があるからだろう。
相手が領土問題で対立するような国でなく幸いだった。

アベノミクス

安部政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされている。
確かに、政権発足からわずか4ヶ月で東京市場の平均株価は
5000円上昇し、円は1ドル=100円をうかがう局面に至っている。
金融市場は活況を呈しているが、庶民の生活はどうかと言えば、
どこの国の話だといった感じが否めない。

目下のアベノミクスの牽引者役は日銀、黒田東彦総裁だ。
向こう2年で物価指数を2%上げることを目標に、大規模な国債の
公開買い入れを進めている。お金が市中に大量にあふれれば、
物の値段は上がるのが道理だ。

デフレスパイラル脱却のために行っている大胆な政策だが、
国内外からは「実験」とやゆされ、中長期的な成果を疑問視する
向きも少なくない。不況と物価上昇(インフレ)が同居する
スタグフレーションを危惧する声も聞かれる。「空白の20年」
と呼ばれるバブル崩壊後の国内景気の長期低迷は、個人所得を
縮小させたが、物価水準が低かったために庶民は何とか生活できた。

円安に即応する形で輸入関連を中心に物価は上昇し始めている。
政府や日銀の思惑通りに物の値段は上がりつつあるが、
肝心の賃金は遅々として上がらない。名目賃金が変わらず、
物価だけが上昇するのであれば実質賃金は今より低下する。

安部首相は景況に明るさが出てきたことでペアを企業に
求めているが、どれだけの企業が応えているのだろうか。
株高、円安で輸出企業や投資家は恩恵を受けているはずで、
その恩恵を広くかつ迅速に国民に還元する政策を講じる必要が
あると思う。国民には、朝晩消費増税が待ち受けているのだから。

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