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2009年11月 Archive
事業仕分け
- 2009年11月30日 12:53
- M.N氏の岡目八目
政府の行政刷新会議が鳴り物入りで進めてきた
予算概算要求の「事業仕分け」も、いよいよきょう大詰めを迎える。
JR市ヶ谷駅から坂道を上り、防衛省を左手に見ながら進む。
やがて国立印刷局市ケ谷センターが見えてくる。
敷地内の体育館が事業仕分けの会場である。
音声レシーバーを借り、見学できる。まるで包丁で魚をさばくように
各省庁のさまざまな事業を俎上(そじょう)に乗せ
無駄な部分はバッサリとそぎ落としていく。
中には削減すべきく金額もある。
行財政改革が叫ばれるようになってからすでに久しい。
各省庁はこれまでも無駄な支出を極力切り詰めてきたはずだ。
それでも今回の仕分けでは、巨額の事業費が
「無駄」と判定されたわけだ。
景気低迷が長引く今の時代、企業は経費節減が至上命題。
いかに無駄を切り詰め、業績を伸ばすかに経営者は必死だ。
家庭も同様。所得は思うように増えず
家計のやり繰りに四苦八苦しているというのが庶民の姿だろう。
先行きにも明るい展望は見いだせない。
今回の仕分けを見る限り、官庁の世界は
そうした世相とは無縁だとあらためて感じさせる。
バブル時代のわが国を覆った大ざっぱな金銭感覚が
まだ生き延びているようだ。
「官との対決」ーその戦いは前途多難だと思わずにいられない。
(M.N)
問題点は多いが、自由に見学できネット中継される公開性は画期的だ。会場を埋めた国民の熱気に、これが政権交代だと実感した。
フグ料理
- 2009年11月27日 18:44
- M.N氏の岡目八目
ある旦那がフグをもらったが、毒が心配で食べられない。
捨てるのも惜しいので出入りの男に毒見をさせようと
フグであることを隠し少し持たせてやった。
しばらく様子をみたが問題はないようで
これなら安心とフグを料理して食べた。
その後出入りの男が来たときに「実はあれはフグだった」
と明かすと「旦那は食べましたか」と聞く。
「ああ食べたよ。うまかった」と旦那が言ったところ
男は「それなら私も食べましょう」。
落語の「河豚汁」である。
フグに毒があることは、古くから知られていた。
フグの刺身を「てっさ」、鍋を「てっちり」というが
「てっ」は「鉄砲」から来ているそうだ。
フグが別名で鉄砲と呼ばれるためで
なぜかといえば「当たれば命にかかわる」とのことのようだ。
それでもフグ料理を食べたくなるのは、そのおいさゆえにだ。
ぷりぷりとした食感にほんのり感じられる独特のうまみはフグならでは。
ことわざにも「フグ食う無分別フグ食わぬ無分別」
「フグは食いたし命は惜しし」とある。
大相撲九州場所も12日目を迎えたが両横綱が無敗で優勝争い。
一年の千秋楽になるのでほとんどの力士は、フグ料理で乾杯だろう。
(M.N)
頑固オヤジ
- 2009年11月23日 16:11
- M.N氏の岡目八目
しつけの悪いこどもを目にすると、「親の顔が見たい」
という言葉が昔からよく使われる。
近ごろ、老若男女を問わず公共の場での迷惑を顧みない人間が
目に付くようになったのは気のせいだろうか。
ある日、知人が「これからは頑固オヤジになる」と宣言した。
周囲に配慮することができない人間が多いことに憤慨してのことだった。
不作法者を見つけると厳しくしかりつけることにしたのだという。
電車の中で大またを広げて座り
2人分の席を占領しながら平然としている若者たち。
お年寄りや体の不自由な人が前に立っても知らんぷり。
新型インフルエンザが騒がれていても、口も覆わずに
せきやくしゃみを吐きかけ、エチケットを守れない人もいる。
街を歩けば、自転車にはねられそうになることがしばしば。
青信号になって横断歩道を渡り始めると
ひしめきあう歩行者の中を自転車が横切ってくる。
非常識どころか道交法違反だ。
そういえば頑固オヤジが以前ほどいなくなった。
他人に無関心なのだろうか。
心の中に不快感を抱くことがあっても注意する人は少ない。
見て見ぬふりをしてしまうのは、自分自身その1人なのだが・・・
いずれにしても常識とか良識の問題は
強制することが難しいだけにもどかしい。
教育やしつけが欠けたツケが社会に回ってきているのかもしれない。
頑固オヤジが必要な時代になってきたようだ。
(M.N)
理容店
- 2009年11月20日 19:21
- M.N氏の岡目八目
髪を切ってもらうのは、もっぱら理容店である。
それも古風な雰囲気の店が気に入っている。
おしゃれな美容院は、老年にはどうも落ち着かなくて苦手だ。
ところが、理容店が全国的に減少傾向にあるというから心配になる。
全国の理容店は1986年の約14万5000軒をピークに
2007年度には13万6000軒余りに減ったようだ。
経営者の高齢化が進み減っているという。
さらに理容師国家試験の受験者も減っているそうだ。
理容師が国家資格となって以後、大幅に減っているようだ。
このままでは後継者不足も深刻になろう。
逆に増えているのは美容院で、2007年度で22万軒になった。
しゃれた店舗で若い男性を中心に人気を集めている。
理容店も女性を対象にエステやネイルケアなどを検討しているという。
最近ではできあがりが早くて料金も格安の理容店が増えた。
新規参入が比較的容易な業界だけに、厳しい競争にもさらされる。
昔ながらの理容店も変わらなければならないのだろう。
何とか頑張ってほしい。
理容店の最大の魅力は、店主との気のおけないおしゃべりである。
数十年通う理容店で、店主が「随分白くなりましたね、わたし以上ですよ」。
遠慮なくなんでも言える間柄ではあるが、少しばかり気にしている点を突かれた。
加えて「あら、まゆ毛までも・・・」と丁寧に言われた。
いつまでも「若いんです」とは言えなくなった年齢ではあるが
ここは踏ん張りどころだ。とっさに「今年の流行語はチェンジ。
時代に合わせているんです」とたんかを切った。
理容店を出ると1年ぶりに会った友人の言葉にも気がめいった。
「随分腹出たなあ」。普通、そう思っても相手を傷付けまいと配慮して
「随分貫禄が出た」とか「年相応に恰幅(かっぷく)がよくなったな」と言うのにである。
結果的には私個人が自分の年齢を承知しなければならないのだが。
(M.N)
森繁久弥さんありがとう
- 2009年11月19日 18:06
- M.N氏の岡目八目
軽妙でありながら、温かく、それでいて哀歓のにじむ演技。
間を置いた独特の語り口にも味わいがあった。映画、舞台、テレビ、ラジオなどを通じ、
戦後の芸能界をけん引し続けた俳優の森繁久弥さんが亡くなった。
戦後、旧満州から帰国し映画界入り。
「夫婦善哉」や「社長」 「駅前」シリーズなどで人気を博し、テレビやラジオ、舞台でも活躍。さらには歌詞曲を手掛けた「知床旅情」が大ヒットするなど芸能界のあらゆる分野で名をはせた。
森繁さんの印象は世代によって異なる。
自ら作詞作曲した「知床旅情」を歌う森繁さん、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の主人公テヴィエを演じる森繁さんは、大正、昭和、平成、の激動の時代を生き、大衆芸能の分野で国民を楽しませてくれた大きな人だった。
心温まるエピソードの一つに童謡の「七つの子」がある。
歌詞中に「丸い眼をしたいい子だよ」と出てくるが、歌うその場に盲目の子がいることに気付き、その歌詞を口にするのをためらった。機転をきかせて「丸い顔したいい子だよ」と言い換え歌った。
絵を描き、詩を作り、エッセーも書くというマルチな才を発揮された。
詩の朗唱は他の追随を許さず、舞台の瞬間に生きる役者の姿を燃焼芸術と呼んだ。
永遠の眠りについても灯した火は消えない。96歳の生涯は見事な幕引きというほかない。
(M.N)
七五三参り
- 2009年11月16日 10:18
- M.N氏の岡目八目
11月恒例の七五三参りが始まった。
八百万(やおろず)の神が出雲(島根)に集まっていた神無月が終わり
地元に戻った神々を待っていたかのように各神社では忙しくなった。
おめかしした男児女児の晴れ姿は
今も変わらない霜月の風物詩である。
姿形は同じでも時代を映して変わる一つに子供の名前がある。
親の名前が凝縮され、きらびやかでトレンディな字音はいいが
読み方が悩ましい。
「七五三の節目に誤読しないよう
読み仮名は必須です」と友人の宮司は語っていた。
周囲もある程度読めてこそ良さが分かると思うのだが。
子の名といえば、ベトナムのドクさん(28)夫妻に
男女の双子が生まれ、男児に「富士山」
女児に「桜」から命名(ベトナム語)したと新聞報道された。
日本の医師団の協力で奇跡的に成功した
結合分離の大手術から21年。
事あるごとに犠牲になった兄と日本への感謝を口にしているそうだ。
ベトナム戦争で散布された
枯れ葉剤の影響と見られる障害を背負うドクさん。
彼の下に生まれた子らはいずれ生い立ちを知りを
名前で日本を意識するだろう。
今も世界で続く紛争と子供の被害。一方で続く人道援助。
その両方のシンボル的存在になられるかもしてない。
行く末に幸多かれと祈り、富士山と、日本の桜をぜひ見てほしいものだ。
(M.N)
人の情け
- 2009年11月 5日 14:05
- M.N氏の岡目八目
土曜の深夜、NHKのテレビで歌手のさだまさしさんが
軽妙に語っている。
ラジオのようなシンプルなつくりの番組だ。
視聴者からのハガキが楽しい。
多くは笑いを誘う内容だが、時々ほろっとさせられたりもする。
先週運動会の借り物競争の話が紹介された。
「一番大事なもの」と書かれた紙を手にした小学生が
観客席から自分のおばあちゃんの手を引いて駆けたそうだ。
こんな話を聞いて、涙ぐんでしまった。
桂米朝さんに文化勲章が贈られた。きょうが親授式である。
上方落語の一番星のような存在だ。
東の一番星、三遊亭円楽さんは先日、惜しくも亡くなった。
ともに演じた噺に「百年目」がある。
裏でしっかり遊んでいる番頭さんが
桜の宴席でだんなさんに出くわす。
翌朝、首を覚悟の番頭さんが耳にしたのは
長年の感謝の言葉だった。
人情噺の魅力が詰まる噺だ。
人の情けにふれ、老いの境地にふれる。
そんな「文化の日」である。
出番
- 2009年11月 4日 07:59
- M.N氏の岡目八目
50人いる社員のうち、知的障害の人が7割を占める。
社長は「人が必要とされてこそ幸せ。この場をつくるのが企業」
と言われる。坂本光二著「日本でいちばん大切にしたい会社」
が紹介している川崎市のチョークメーカーだ。
きっかけは50年前。仕事をしたいという女の子2人を
試みに受け入れた。
懸命に、でも幸せそうにラベル張りををする姿に
女性社員が心を動かされた。
「雇ってあげてください。できないことは私たちがカバーします」。
悩んだ末に会社も決断した。
時計の読めない子には砂時計で、
というふうにその人に合わせた工程などを工夫し、困難を乗り越える。
この工場を訪れた鳩山由紀夫首相が、所信表明の中で取り上げた。
「出番」という言葉とともに。
これを任せる。あなたならできる。
そう言われると、認められたと感じ、自分の存在感が満たされる。
「出番はない」と思っていた人ほど元気になれる。
そうした関係を張り巡らせて、社会のきずなを取りもどそうという
首相の哲学が、この2文字ににじむ。
「米百票など故事来歴を引いた歴代首相と違って
自分の体験を織り込むのが鳩山流のようだ。
演説の心をどう実現するか、国会の論戦は11月1日から。
政権交代劇場の外にいた野党自民党が
「今度は出番」と待ち構えている。
(M.N)
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