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出番

50人いる社員のうち、知的障害の人が7割を占める。
社長は「人が必要とされてこそ幸せ。この場をつくるのが企業」
と言われる。坂本光二著「日本でいちばん大切にしたい会社」
が紹介している川崎市のチョークメーカーだ。

きっかけは50年前。仕事をしたいという女の子2人を
試みに受け入れた。
懸命に、でも幸せそうにラベル張りををする姿に
女性社員が心を動かされた。
「雇ってあげてください。できないことは私たちがカバーします」。
 
悩んだ末に会社も決断した。
時計の読めない子には砂時計で、
というふうにその人に合わせた工程などを工夫し、困難を乗り越える。
この工場を訪れた鳩山由紀夫首相が、所信表明の中で取り上げた。
「出番」という言葉とともに。

これを任せる。あなたならできる。
そう言われると、認められたと感じ、自分の存在感が満たされる。
「出番はない」と思っていた人ほど元気になれる。
そうした関係を張り巡らせて、社会のきずなを取りもどそうという
首相の哲学が、この2文字ににじむ。

「米百票など故事来歴を引いた歴代首相と違って
自分の体験を織り込むのが鳩山流のようだ。
演説の心をどう実現するか、国会の論戦は11月1日から。
政権交代劇場の外にいた野党自民党が
「今度は出番」と待ち構えている。   

(M.N)                                                      


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