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2012年11月 Archive

議員引退

総選挙は世代交代の機会でもある。今回も多くの議員が
引退を決めた。「大物」と呼んでいいのかためらいもあるが、
政局の中心にいた有力者が永田町を去る。首相経験者は4人。
羽田孜、森喜朗、福田康夫、鳩山由紀夫の各氏だ。いずれも
評価はまちまちだが、一時期、日本の最高責任者だったことは
間違いない。

民主党の渡辺恒三最高顧問や自民党元幹事長の古賀誠,
武部勧、中川秀直氏、元防衛庁長官の大野功統氏ら記憶に
残る議員が多い。高齢や体調不良での引退もある。一方で
まだ元気に働けそうな方もいる。現場にちょっかいを出す
「陰の長老」は困るが、現役時代の人脈や経験を生かした活動
の場はあるはずだ。大所高所に立った活動を期待したい。

故福田赳夫元首相は首相退陣後、各国の元指導者に
呼び掛けて「OBサミット」を創設、環境や資源など地球規模の
問題に取り組まれた。「地位を去って社会的制約も多少楽に
なった各位を糾合して、現役諸公を補完しよう」と取り組んだと
福田元首相の「回顧九十年」にある。

故橋本龍太郎元首相は水の問題に取り組まれた。
侵略戦争と植民地支配を謝罪した戦後50年談話を出した
村山富一元首相は今でも中国側と交流を続けられている。
森元首相は今でもブーチン・ロシア大統領と親しいそうだ。
さて「宇宙人」鳩山元首相は何をなされるのか。「友愛
東アジア平和研究所」を構えて友愛精神を広めていきたい
と語られているそうだ。世界に混乱をまき散らさないように願いたい。

明日の日本を担う若者たち

英語を身に付けて、将来は世界を飛び回りたい。若きころ、
そんな思いで留学にあこがれた人も多いだろう。かって海外に
どんどん出ていた日本の若者たち。しかし近年は事情が違って
きている。米国大学の日本人留学生が年々減り続け、2万人を切った。
15年前のピーク時には4万7千人を数え、国別でも日本が
トップだった。それに比べれば6割も減ったことになり、驚かさせる。

代わって1位に躍り出たのは、容易に想像がつくだろう。
日本を抜いて世界第2位の経済大国となった中国だ。
一人っ子政策の影響もあり、教育熱は過熱気味のようだ。
米国へ子ども留学させるのは親にとって「成功の証し」
というからすごい。

日米中韓4カ国の高校生の意識調査では、留学希望者の
割合は日本が5割を切り最下位。トップの韓国は8割を越す。
気掛かりなのは、留学を望まない日本の生徒たちの理由だ。
「面倒だから」「自分の国が暮らしやすい」が多かったことだ。

日本の若者たちにチャレンジ精神が乏しくなったのか、
長引くデフレで経済的な余裕がなくなったためなのか。
若者の内向き志向が指摘されているが、複雑な心境になった。
社会のグローバル化が進む中、気掛かりだ。

政治、経済でなく社会全体に停滞感が漂い、「新衰退国」とも
呼ばれそうな日本だ。輝きを取り戻す日は訪れるのだろうか。
明日の日本を担う若者たちに期待したいところなのに、
すべてが悪循環に陥ってしまったかのようだ。
どこかで断ち切らねばと願う。

就職活動さまざま

先日発売になった自由国民社の『現代用語の基礎知識2013』を
買い求めた。特集には「3・11後、この国の選択」、巻頭巻末を除いて
15項目の2万7000語を解説されている。

以前は例年購入、調べ物の際の必需品だったが近年は、つい手軽な
ネット検索で済ませることが多く、久々に手に取った感がある。
開いてみて各所に時代を痛感した。

まず、「政治」の前に「環境」が、「経済」の前に「国際情勢」と
「各国事情」の項が配されていたことである。日本が現在
置かれている状況を、目の前に突きつけられた思いだ。

もう1つ、かって就職試験を控え「読破する」と日々ページを
繰っていた知己もいたが、『現代用語の基礎知識』は大学生の
就職活動に必須の1冊だった。それは今も変わらぬようだが、
その本体に何と、「就活成功への活用術」までが掲載されているのだ。
それは本来、学生自身が考えるべきことではないだろうかと思う。
これも時代なのか。

安全第一を願う

そこは目がくらむほどのきらびやかな世界だった。
操作盤に手をやる美しい女性に見とれていた少年は
「運賃はいくらなんだろう」とポケットの小銭をぎゅっと握り締めた。
熊本で初めて乗ったエレベーターだった。
亡き父が戦前に体験した話だ。よほど印象深かったのか
何度も聞かされた。先日はエレベーターの日だった。

1890年11月10日、東京浅草に完成した12階建て展望台
「凌雲閣」に日本初の電動式エレベーターが設置されたことにちなむ。
ただし、危険との理由ですぐ利用中止になってしまったという。
今年、近くに開業した東京スカイツリーには、第1展望台までの
350メートルを50秒で結ぶ国内最高速のエレベーターが設置された。
1世紀以上を経て到達した高度な技術に敬意を送りたいところだ。

かと思えば金沢市のホテルでは先日、清掃会社のパート従業員の
女性がエレベーターに乗ろうとして死亡するという痛ましい事故が起きた。
扉が開いたままかごが上昇し、かごと扉の上部に胴体をはさまれた
事故だ。時には心温まる会話を生むエレベーターなのに、それが突然
牙をむくのでは安心して乗れなくなる。

安全装置のない旧機種の改修が進んでいない背景があるという。
なぜ、安全への誓いが生かされていないのか。発足したばかりの
消費者安全調査委員会も、二度と悲惨な事故を起こさないために
徹底的な検証が必要だ。

オバマ大統領勝利

オバマ大統領の自伝「マイ・ドリーム」を読み返してみた。
オバマ氏が政治家になる前、30代の半ばで書いた本である。
日本では前回大統領選の前年、2007年に出版されている。

印象深いのは、少年時代を過ごしたインドネシアと父親の母国
ケニアを訪ねた時の記述である。市場では雑多なものが売り買い
されている。一見乱雑な中に商売の決まりがあり秩序があった。
そして「皆がつながっていた」。米国社会の荒廃に、オバマ青年は
思いをはせるのだった。

苦しい選挙戦だった。無理もない。この4年間、暮らしはよくなっていない。
変革のうたい文句は色あせ、対外政策でもこれという成果を残していない。
それでも勝利を引き寄せることができたのは、有権者が米国社会の
分断に心を痛め、連帯の大切さを感じ取っているからだろう。

オバマ氏を大統領候補に正式指名した9月の民主党大会。
クリントン元大統領はこんな演説で会場をわかせた。
「勝者が全てを持ち去るような社会を望むなら、共和党候補を
支持するがいい」。富裕層が野放図な金もうけに走り、社会の絆を
断ち切ったことを糾弾(きゅうだん)する演説だった。

「私たちは一つの米国として団結する」。勝利を宣言する演説で
大統領は力説した。任期は4年である。人々の暮らしを安定させ
連帯の輪をつなぎ直すことができればそれこそが、新しい
アメリカンドリームになる。

法案の審議

臨時国会が開会して一週間がたった。現状は、と言えば
相も変わらずの体たらく。重要法案の審議にすら入らず、
伝わってくるのは民主と自民の主導権争いというか、駆け引き
だけのようにみえる。政権政党の民主も民主なら、野党第一党の
自民も自民だ。民主が守り一色なら、自民は対決一色。
いたずらに時間だけが過ぎゆくばかりで、国債の発行に必要な
特例公債法案も入り口で待機させたままだ。

結果として予算の執行抑制が現実となり、地方交付税の交付も
先送りだ。本来なら先の通常国会で成立させるべきだったのだから、
速やかに、とならなければおかしいのだが、その責任を感じている
姿は少しもない。

自民にとっても、同法案を容認する方針を決めたのなら、さっさと
審議に応じると爽やかなのに。解散の約束がどうだとか、内閣の
姿勢を正すことが先だとか、国会運営優先の動きばかりだ。
一方の民主も精彩がない。

イタリア・シチリア島の知事選挙(10月末)で、こんな話がある。
政治家に失望した住民が犬を"擁立"し投票を呼びかけたという。
もちろん無効だが、犬に任せた方がまし、という強烈な皮肉からだ。
そこまでさせないように・・・外国の話と笑っていられない。

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