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公務員の郷土愛

ご当地をPRする「ゆるキャラ」の中で、熊本県の「くまモン」は
全国屈指の人気者である。関連商品の売り上げは昨年
300億円近くに上がったというから大したものだ。まん丸い目に
赤いほお、メタボ気味のくまモンは2010年に誕生した。
九州新幹線が全線開業する前年で、熊本PRのアドバイザー
になった放送作家、小山薫堂さんが提供したスローガンなどと
ともに発表された。いわば「おまけ」だったそうだ。

それを熊本の知名度アップに生かそうと奔走したのが、
県大阪事務所長だった佐伯和典さんらだ。蒲島邦夫知事に、
「好きなことをやれ」と指示されたという。新大阪と鹿児島
中央間で直通運転が始まれば、熊本は埋没するという
危機感に背中を押された。

展開された企画は、公務員の枠にとらわれないユニークさである。
1万枚の名刺配りやイベントで顔を売り、大阪プロレスでは
場外乱闘に絡んだ。マスコミでも話題となり、蒲島知事も
吉本新喜劇に出演されたとのこと。

「くまモンと仕事をして意識が変わった」と、畑違いのPR作戦に
かかわった職員らは「くまモンの秘密」(幼冬舎新書)に記した。
佐伯さんも「たくましくなった」と部下を評価する。担当を離れても
生きる経験に違いない。ゆるキャラと関係者がともに成長して、
地域も活気づく。地方発の事業として格好のお手本だ。

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