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2010年5月 Archive

介護のこと

将来、自分に介護が必要になった場合
男性は自宅で配偶者による介護を、女性は老人ホームへの
入居を希望する人が多いようだ。

これは、老人ホームや高齢者住宅を運営する民間企業が
全国の40歳以上の男女1200人を対象に実施した
「介護に関する意識調査」の結果だ。
女性の場合は自宅で介護を受けることになっても
「配偶者」より「外部の介護サービス」を望むと答えた人が
多かったそうだ。

少子高齢化社会の進展に伴い、介護は家族間だけでなく
社会の大きな問題となっている。
介護疲れによる無理心中など痛ましい事件も後を絶たない。
同調査でも家族の介護に不安を感じる人は93%あり
その最大の理由として、男性は「費用面}、女性は
「精神的・体力的な負担」を挙げているそうだ。

また、自分を含めた家族が「介護経験あり」と回答した人のうち
中心になって介護を行ったと答えた男性は、約20%だったのに対し
女性は約48%と、介護が女性中心で行われていることも
浮き彫りになった。

こうしてみると、男性が介護に妻や家族による
「気兼ねのない安心」を求める傾向があるのに対し
女性には家族の「負担」を軽減し、外部の介護サービスの
「質」」や「内容」を追求しようとする合理性があるように思う。

介護保険制度が導入されて今年で10年。
利用しやすい制度なのか、介護に関する国民の意識はどう変わったのか
国、県、市は検証する必要がないだろうか。私も不安になってきた。

(M.N)

運動会

5月は運動会真っ盛りだ。週末になると、小学校の校庭から、
にぎやかな音楽と共に子どもや親の歓声が聞こえてくる。
徒競走、綱引き、リレー・・・。今も昔も変わらない風物詩だ。
 
定番競技に「紅白玉入れ」がある。ある世代以上の人なら
紅白の玉を母親に作ってもらった人が多いと思う。
中身は大豆だったり、もみ殻だったり。
作る人によって大きさや布の色合いが微妙に違うのがご愛嬌だ。
前年に使ったのを学校の倉庫から出してみたら
ネズミにやられて使い物にならないーという笑い話が合った。
 
知人の先生が話してくれた。今は負担を掛けないように
保護者に作ってもらうことはないとのこと。
その代わり、業者から購入するそうだ。
その玉を見せてもらったら表面の布は滑らかで伸び縮みする。

中身は見えないが細かい樹脂の粒が入っているようだ。
少々の力でぶっつけられても、痛くないようになっている。
もちろんネズミにも強い。

あまりに変わっていないと思っていた運動会だが、
時代の流れを感じた。手軽で安全、いいところずくめだ。
「運動会」という言葉から「母さんの夜なべ」を連想する。
そんな世代は確実に減っていくのだろう。

孫の運動会もまじかだ。
応援に行って娘が作る夜なべ?で作る
弁当を一緒に食べるとするか。

(M.N)

タレント候補

五輪金メダリストに元プロ野球選手や女優、歌手、落語家。
今夏の参院選では各党が著名人を擁立するようだ。
タレント候補の乱立が一つの特徴になりそうだ。

参院の選挙には1980年まで「全国区」があった。
知名度が武器になるため、全国を飛び回らなくてはならない。
金も掛かるため「残酷区」、「銭酷区」とも呼ばれ
83年に政党名で投票する拘束名簿式の比例代表制に変更された。

とろが2001年に個人名での得票数が加味される
非拘束名簿式に変わったため「知名度」が
候補者選びの重要な要素に復活した。
ただ01年以降の参院選をみても実績を残せた候補はごくわずか。
04年はタレント候補が減っている。
「名前を知っているから票を入れる時代は終わった」と以前
某党幹部も指摘していた。

それでも今回、各党がタレント候補擁立に走るのは
党の看板では無党派層を引きつけられないと考えるからであろう。
道を究めた人は、大変な努力をしているし
その分野では一家言をもつ。

だがそれは有識者を集めた諮問会議でも十分ではないか。
タレント候補が相次ぐと、政治家に求められる本来の「才能」は何か
と考えさせられる。適否は有権者の判断に束ねられることだが。

(M.N)

W杯サッカー日本代表

今回はどんなドラマが生まれるのか。
来月、南アフリカで開幕するW杯サッカーの
日本代表23人が、発表された。五輪と同様、4年に一度開催される
スポーツ界のビッグイベント。世界中の注目を集める
舞台に立ちたいという思いは、どの国の選手でも同じだろう。
 
日本が初出場を決めた1998年のフランス大会から
日本代表の選考ドラマも始まった。当時の登録枠は、
22人だった。日本代表は直前合宿まで25人を残し、
最終的に3人を外す方法で、外れた選手の中に
知名度ナンバーワンだった「カズ」こと三浦友良選手がいた。

力の衰えが指摘されていたとはいえ、
Jリーグ発足当初から初のW杯出場を決めるまで、
日本サッカー界を引っ張ったスターの代表落ちは衝撃だった。

W杯で勝利や目標を達成するために、どう戦うか。
そのために必要とされる選手はだれか。
戦術面はもちろん、豊富な経験やリーダーシップなどの面で
必要とされる選手もいるだろう。

代表メンバーは、これからが本当の厳しい戦いだ。
代表の自覚と責任を持って万全の準備をし、
本番でベストを尽くすことだ。その姿勢が伝わってこそ、
サポーターも惜しみない声援を送ることができる。
 
「代表としての誇り、魂みたいなものを向こう(フランス)に置いてきたと
思っている」。12年前、W杯の開幕を待たずに帰国したカズの言葉から、
代表の重みと代表に託す強い思いが伝わったのを思い出す。

(M.N)

美術オークション

男性より女性の人気が上回るのが時代の流れであるようだ。
ニューヨークの美術オークションで、ピカソの油絵
「ヌード、観葉植物と胸像」が、これまで最高額だった
ジャコメッティの彫刻「歩く男」を上回る100億円で
落札されたと報道された。

美術市場の話題といえば日本人なら
バブル景気に沸いた1980年代を思い起こす。
ゴッホなど近・現代の傑作が多く日本に流れたともいう。
そんなバブル時代の栄華も景気低迷で昔日のものとなった。

ところが世界市場では今、史上最高の落札が続いている。
2月にはロンドンで「歩く男」が95億円を記録したばかり。
人間存在の形を極限まで追求したという針金状の人体彫刻は
人の指ほどのものから、ほぼ等身大の「「歩く男」まである。

ジャコメッテイもピカソも20世紀美術の巨人、人気作家である。
ただ、落札額が億を越えれば庶民にはもう五十歩百歩だ。
強いてメリットをあげれば、高値が話題となって初めて
作品お目にかかれることぐらい。もちろん写真でだが。

ピカソは恋人をモデルにこの作品をわずか一日で描き上げたそうだ。
美に殉じる天才の力は数字の世界を超えて強く大きい。

ゴールデンウイークに、東京国立博物館で特別展
「細川家の至宝」を鑑賞したが元首相細川護煕さんのコレクション
350点あまりの中での横山大観,川端龍子、梅原龍三郎画伯の
日本画家の絵画には感動した。

(M.N)


ギリシャ危機

リーマン、ドバイときて、今度はギリシャ。
アイスランドの火山噴火も収まらないままギリシャの財政不安に                      
端を発した経済の嵐が世界に吹き荒れた先週だった。
ニュー-ヨーク株式市場では入力トラブルも重なって
過去最大の下落幅を記録、東京株式市場も
ことし最大の下落となった。

同時株安で思い起こされるのが
米国のサブプライム住宅ローン問題とリーマン・ショックが生み出した
世界的な経済危機。
それがようやく収束に向かい始めたさなかの「ギリシャ危機だ」。

しかも「対岸の火事」と済ませられないのが日本。
ギリシャの政府債務残高は国内総生産の1倍強に対し、                       
日本は2倍弱。スターと間もない日本の本年度政府予算の
ほぼ半額が借金頼みという厳しい現実もある。

近年の経済危機の火種がともに欧米からであるのも特徴だろう。
その世界経済は中国やインドなど元気なアジアの経済成長で
辛うじて持ちこたえてはいるものの、好調なアジア経済も
一歩間違えばバブル化の危機をはらんでいる。

氷河や火山地帯という壮大な自然遺産を有するアイスランドに対し、
ギリシャ神話やパルテノン神殿などの文化遺産を誇るギリシャ。
現代政治の根幹をなす「デモクラシー」の概念も
古代ギリシャから生まれた。
 
古代ギリシャ文明が理想としたのは「調和の美」だったはずだが、
現代社会はいまだ混乱、混迷から抜け出せないでいる。
経済のグローバル化、即ち世界の経済がつながりを強めることが
望ましいと思う。

(M.N)

ふすまの効用

住宅の洋風化が進み、ふすまや障子などの
日本家屋の建具が姿を消しているようだ。
ライフスタイルの変化で和室が減り
ふすまや障子を使う場所が少なくなっているからだ。

日本は「引く」文化だという。従来の日本家屋は壁のほかに
ふすまや障子など、引いて開ける建具で部屋を仕切ってきた。
障子は中国から伝わった言葉だが、
ふすまは日本人が名付けたもので、臥所(ふしど)(寝室)の仕切り用に
布を張ったついたてが原型だそうだ。

欧米は「押す」文化で、ドアは外側から室内方向に
押して開けるのが一般的だ。プライバシーを守るため
レンガや石材などを使った強固な壁で部屋を仕切り
中の音が漏れにくい構造となっている。

しかし、日本人は木と紙ででき、鍵もかからず、物音も筒抜けの
ふすまや障子を壁と同等の「隔て」として過ごしてきた。
こうした生活文化が日本人独特の人間関係や
相手を思いやる心を築いてきたのだろうと
哲学者の故和辻哲郎博士は指摘していられる。

例えば、ふすまが閉まっていれば「入ってほしくないのだな」と思い
中でひそひそ話の声がすれば、「聞かれたくないのだな」と察して
そばを離れる。ふすま文化の中で、他人の気配を常に感じ
気持ちを察し、細かい心配りをすることが
自然と訓練されてきたと言われる。

ふすまにこうした効用があったとは意外な気もするが
日本家屋の良さを見直すきっかけになればと思う。

(M.N)

万国博覧会

万国博覧会。輝くべき第1回開催地は1851年の英国・ロンドだった。
再びロンドンで開かれた1862年、福沢諭吉(1834-1901年)ら
36人の遺欧使節団がその大博覧会を見学、西洋の技術発展に
目を丸くしたようだ。

明治に入って日本の国是は富国強兵・殖産興業。
その成果を世界に示そうと1907年、日本は万博誘致を試みるが                      世界からは相手にもされなかった。歳月は流れて1970年。
念願かなって日本万国博覧会 (大阪万博)が開催したのは
その年の3月14日のことである。

「こんにちは こんにちは 桜の国で 1970年のこんにちは・・・」。
軽やかなテーマソングが日本中に流れた。
東京オリンピックの成功から6年、「人類の進歩と調和」をテーマにした
大阪万博はまさに高度経済成長を加速させた日本の
「大国入り宣言」でもあった。

大阪の千里丘陵に造成された約330万平方メートルの会場の中心に
岡本太郎(1911~96年)制作「太陽の塔」がそびえ立ち
117のパビリオンが展示を競った。
宇宙船のドッキング場面を展示した「ソ連(ロシア)餡」
月の石やアポロ2号の実物大模型を展示した{アメリカ餡}。
日本は「電力餡」「鉄鋼餡」「自動車餡」などで国力を誇示した。

5月1、大国・中国の勢いそのままに上海万博が開幕した。
テーマは「より良い都市」、より良い生活」。
北京五輪(2008年)に続く中国での国際イベント。
GDP(国内総生産)2ケタ成長など、日本が世界の大国の仲間入りをした
高度成長期とよく似た状況での開催である。

世界が目を見張る成長の反面、環境破壊や貧富の格差拡大など
負の側面を同時に抱え持った大国の真価が問われる                             万国博であると思う。
 
(M.N)

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