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白日時代

「グランドに銭が落ちている」とは、かってプロ野球南海の
名監督だった鶴岡一人さんの有名な言葉だ。プロ選手は
グランドを唯一の仕事場と心得て全てを注げ。名将はそんな思いを
独特の言葉で表現したのかもしれない。

それは大相撲の世界でも同じだ。元横綱初代若乃花の言
によれば、グランドは"土俵"に置き換わる。「強くなれば土俵の下には
何でもほしいものが埋まっているぞ。お金も着物もー」昔からその
一心で厳しいけいこに励んできた。

それを聞いた新弟子が夜中にけいこ場の土俵をスコップで
掘り起こしたという話もあったそうだ。横綱白鵬との激闘を制し
2場所連続の全勝優勝を果たした大関日馬富士は直後、
その土俵にそっと額をつけた。「土俵の神様に感謝の気持ちです」。

2分近い熱戦は、久しぶりに両国国技館を沸かせた一番だった。
どんな型の相撲にも対応するしなやかさに強靭(きょうじん)さを
併せ持つ横綱と、驚異の身体能力と粘り腰で全勝街道を突っ走る大関。
土俵の神様は双方の持ち味を存分に引き出したようだ。

土俵に埋まっているのは力士のほしいものばかりではない。
相撲ファンをとりこにするものも埋まっている。当日、内閣総理大臣賞
授与のため来場した野田首相も「鳥肌の立つ相撲」とたたえた。
 
「鳥肌」は本来恐怖や嫌悪感に襲われたときに使う言葉だが、
首相もついうっかりするほど、白熱の大一番だったということだろう。
日馬富士の横綱昇進で一人横綱にも終止符が打たれる。
"白日時代"の始まりだ。


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