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TPP論

なるほど自民党は老練だ。所信表明で唐突に
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加検討を
言い出して党内が大混乱した菅直人首相や、
反対論に押し切られた野田佳彦首相ら民主党政権とは
一枚も二枚も役者が違うように思う。

まず「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」の
公約を掲げ、農業はじめ影響する団体・関係者の支持を
取り付けた。「聖域」に自分たちが入るなら反対する理由はない。
次いで、オバマ米国大統領との会談という最高の舞台で
「聖域」の小窓を開けさせた。そして「聖域設定」を最大限に演出し、
交渉参加は公約違反にはならないという理屈への賛同を
導きだそうとしている。

「聖域」に関税全品目が入るはずもなく、カナダ、メキシコらの
警戒心も強い。安部晋三首相は「強い交渉力で国益を守る」
と言われるが、日本の足元を見て自動車関税を存続させた
米国相手にどこまで通じるか心もとない。減反政策は農地を
回復不可能にした。「ピンチをチャンス」というより、食の安全保障の
危機感が募るが、消費増税を巡る民主党の論法よりは
手順を踏んでいるように思う。
 
岡田克也前副総理は米国を軸とする貿易網に参加しないで
日本の国が成り立つかという「開国論」を述べられた。
安部首相が「国家百年の大計」と高揚するのは、北朝鮮や
「海洋国家」へと膨張する中国への対抗軸として日米協調,
TPP諸国との包囲網を視野に入れているからではないか。

「国益」という最後の壁をどう乗り切るかが課題だが
洗練されてはいる。さすが一度失敗しただけはあると言ったら、
だから我々はもう一度、と民主党は言うだろうか。

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