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サッチャー氏死去

 87歳で亡くなった英国のマーガレット・サッチャー元首相は
いつもせかせかと歩き、並の人間では追いつけない速さだったという。
「私はいつも激しく働いてきた。仕事なしではどうしていいかわらない」
とも言っているから、一種の「仕事中毒」だったのだろう。
田舎町の食料雑貨店に生まれ、勤勉と努力で権力の座へ上り詰めた人だ。

だからか、働きばちの日本人には共感を示した。国内向け演説では、
日本に見習えと言わんばかりに、その勤勉さと技術革新をしばしば
引き合いに出したという。「われわれは自分の努力でハシゴを上がる人
を助けるべきだ」。こう訴えて政府の関与を減らし、競争原理に基づいて
産業界を再生させる新自由主義の道を突き進んだ。

国有企業の民営化や規制緩和、労組の弱体化を進め、高福祉政策にも
大なたを振るった。そんな荒療治で疲弊した国を立て直した。この路線が、
中曽根民活路線など日本の行政改革にも多大な影響を及ぼしたことは
周知の通りだ。

が、市場原理の重視は、競争から落ちこぼれた人を社会の底辺へ追い込み、
貧富の格差を広げたのも事実である。国のかたちを大きく変えた「鉄の女」
サッチャー氏が、光と影に彩られた首相在任3期11年余りだった。

私ごとで恐縮だが、同時期に企業戦士の一員として、都市計画業務の
末端に携わっていたが、知人から「あなたの趣味は」と問われ「仕事です」
と応えたことを思い出し、国内全体が騒がしかったが、良い時代だった
ようにも感じる。

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