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収束できない事故

政府が「終息した」と宣言したはずの福島第1原発で、
深刻なトラブルが続いている。先日は停電で長時間、
冷却水が送れなかった。今度は地下貯水槽から大量の
放射性物質を含んだ汚染水が漏れ続けていることが分かった。
東京電力は当初「原因は調査中」と繰り返すだけで有効な
対策を示せなかった。漏れた量は少なくとも120トン以上。
移送先にめどがつかないまま、毎日400トンの汚染水が
新たに発生しているという。

政府の対応はどうか。例えば昨年7月、国会事故調査委員会
の提言でできた衆院原子力特別委員会は先日、ようやく
初会合を開いた。原子力行政を監視するはずの組織なのに、
委員の多くは原発推進派に差し替えられている。原発の
改善状況を継続的に監視する仕組みもまだできていない。

どういうことだろう。さきの特別委員会では、地元の商工会長が
「国会の対応は被害者にとっても歯がゆいことだった。心の
安心を下さい」と胸の内を語った。福島県も東電の担当者を
呼んで「対応が場当たり的だ」と批判した。

事態を制御できない東電とそれを見過ごしたままでいる政府。
その一方で電力業界や政権幹部は原発再稼動に意欲をみせている。
不思議な光景である。厚顔無恥というしかない。まずは事故を
収束させること。現委員を究明し、安全対策を確保すること。
今後の話は、それができてからだ。それが政治家や企業人の
責任だと思うのだが。

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