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国民総所得

国の経済規模を測る指標といえば、GDP(国内総生産)が代表格だ
。以前多用されていたGNP(国民総生産)に取って代わったのは
20年ほど前になろうか。今度は新たにGNI(国民総所得)だという。
安倍首相が「10年後に1人当たりの国民総所得を150万円増やす」
と打ち上げた。アベノミクスの3本目の矢、成長戦略に明記された
数値目標である。そのまま受け取ると、夢も膨らみそうだが。

1人当たり年間150万円なら月に12万5千円ー。そんな
皮算用をしたら、残念ながら「取らぬタヌキの」である。GNIは国民や
日本企業が国内外で得た所得の総額を示す数字だ。企業が利益を
上げても給料にはね返らない限り、社員の懐にはつながらない。

新興国の成長の取り込みを掲げるなかで、指標はGDPよりGNIが
時代にかなっているというのは理解できる。ただ、「総所得」アップの
響きから連想する池田勇人元首相の「所得倍増」とは異なるのが、
今回の矢の的だと心得ておく必要がある。

昭和35(1960)年に首相に就いた池田勇人元首相は「所得倍増」を掲げ、
それは7年後に実現する。池田元首相の決意と、経済政策ブレーンとして
支えた下村治氏や田村敏雄氏の奮闘は、作家沢木耕太郎さんの
『危機の宰相(さいしょう)』に詳しく記載されている。夢を現実にする各氏の
誇り高い物語は今も色あせない。

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