|
福岡ソフトバンクホークス監督の王貞治さんは、選手時代
よくバットを日本刀に持ち替えて
打撃の真髄を探求する練習に励まれた。
真剣の一閃(いっせん)に何を見たか
凡人の察するところではないが、王監督は練習で何かをつかみ
さらなるホームランの量産にまい進された。
バットを構えた王さんの勇姿もすばらしかったが、刀も似合った。
一心に野球道を究めようとする姿が
古武士の風格を漂わせていたからだろう。
武士道は礼と仁を重んじる。相手を敬い、思いやる心だ。
王さんはファンに感謝の言葉を忘れず
若い選手を根気強く育て上げた。
やはり、野球道の中には武士道も究めていたと拝察する。
天才バッターの偉業には、ただ驚嘆するのみだが
努力と忍耐を重ねるその姿は、平凡なる身にも
生き方について何かを教えてくれて、ありがたかった。
長嶋茂雄元監督と「ON」時代を築き
一本足打法から量産される本塁打は国民を魅了した。
通算868本塁打など数々の大記録を打ち立て
初の国民栄誉賞に輝いた。監督としても手腕を発揮
2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では
日本を初代チャンピオンに導いた。
円熟を感じさせて味があった。
忍耐と気配りの人でもあることを見せてくれた。
その王さんが今季限りで退任を発表された。
辞任を決めた王監督には、どんな秋思があっただろうか。
その表情には悔しさはなく,いつもの優しさが感じられた。
半世紀のプロ野球人生を「幸せでした」と感謝し球場を去られた。
一本足打法に自らの来し方を重ねる人も多いはずだ。
(M.N)
|