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石炭の世紀

21世紀は石炭の世紀だった。
と言われてもぴんと来ないかもしれない。
エネルギーの主軸を石油に譲って久しい。
燃やせば温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を
大量に出すから悪玉扱いもされた。

が、世界は「黒いダイヤ」の誘惑から解放されていない。
米国や中国の大量消費は言わずもがな。
太陽光や風力に熱心なドイツでさえ発電の5割近くが石炭。
何せ石油や天然ガスよりも価格が安い。

埋蔵量が豊富、産地が広範、地政の影響も低い。
ゆえに石油ショック以来、電源構成の影の主役だ。
人ごとではない。日本の電力会社が近年、最も精を出したのは
石炭火力発電所の建設だ。

「原発が増えると火電が増える」という言葉があるのだそうだ。
原発をつくれば、日常の出力調整と非常時に備える別電源が
必要になる。京都議定書後の10年で、石炭家電の総出力は
1200万キロワット以上も増えたようだ。
もはや石炭隠しのための原発であると思われる。

石炭の世紀とは、石炭とのつきあい方を考えなくてはならない。
日本はCO2排出を抑える石炭ガス化複合発電の技術力こそあれ、
実用化では後れをとる。原発一辺倒で進んだツケかもしれない。

福島原発事故を受け、再び脱原発に向かったドイツは、
火電が出すCO2を地下埋設する研究を本格化するそうだ。
環境負荷の懸念はあるが、使用済み核燃料の地層処分よりはまし。
そう思わされるのも、また原発の罪になるのだろうか。

(M.N)

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