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タイの洪水

タイの洪水は、ついに首都バンコクを襲った。これまで
北部・中部の工業団地をのみ込み、日系企業400社以上が
被害を受けたようだ。自動車や電化製品、食品製造など幅広い。
自動車工場は操業再開のめどが立たず、新型カメラの発売を
延期した企業もある。

豊富で安い労働力を求め、日本企業が中国をはじめ
東南アジア諸国に生産拠点を移す動きが続いている。
最近は円高や法人税の高さ、電力不足の懸念から、
移転を検討する企業がさらに増えているという。

しかし今回の洪水は、生産拠点を集積させることの
危険性も示した。生産コストを下げ、シェアを切り開き、
国際競争に勝ち抜くことが企業、そしてものづくり大国日本の
道だが、生産ラインが停止してしまえば、お手上げだ。

それは国内でも同じ。東日本大震災でも、東北地方で
中小・零細の町工場の製造がストップし、2万点の
部品ひとつ欠けても完成しない自動車の製造が止まった。
水産加工のように、一部で打撃を受けても国内の代替地で
カバーできる場合もある。しかし、機械や部品はそう簡単にいかない。

生産が止まれば輸出が止まり、経営不振、ひいては日本経済の
悪化を招く。安定した生産体制をどう築き、天災時でも被害を
最小限に食い止めるか。難しい問題だ。
しかしまずタイの国家的危機に援助の手を差し伸べることだ。
そこから始めていくことこそ日本の大きな役割ではないのだろうか。


(M.N)

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