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稀勢の里大関昇進

稀勢の里が大関に昇進した。技巧や派手さは薄いが、
力と気迫で正面から全力でぶつかり一歩も引かない相撲は、
師匠の先代鳴戸親方(元横綱隆の里)に似ている。

早くから大関候補と言われた稀勢の里は今場所、
師匠の急死という悲しみの中での土俵となった。
ここ数年は一進一退の星勘定が多かったが、昨年の九州場所で
白鵬の連勝を63で止めた実力は十分。今場所も
正々堂々とした取り口で、審判員らの高い評価を得た。

先代鳴戸親方は現役時代、糖尿病を患いながらも辛抱と
精進を重ねて横綱に登りつめた。猛稽古で肩に隆起するように
ついた筋肉と、腰は高いが怪力で相手を投げ飛ばす相撲を忘れない。
引退後は弟子の指導に熱心で、土俵外でも「人間の幅を広げろ」と、
読書や芸術鑑賞を勧めたという。

稀勢の里はインタビューで「親方に指導してもらったことを思い出し、
しっかりと相撲をとった」「慢心しないでもっともっと上を目指す」
と述べた。悲しみを乗り越え、亡き師匠への恩返しの報告と決意表明
となった。

日本力士の低迷に合わせるように、相撲人気が下降した。
そうした中、琴奨菊に続き、二場所連続で日本人大関の誕生という
朗報だった。存亡がかかった土俵際の今こそ、日本人力士の再起が
欠かせない。稀勢の里、琴奨菊が新たな時代を切り開くことを願いたい。

(M.N)

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