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初競り

気温、水温、海の匂い、月の位置、潮の満ち引き。
全てに目を配れる経験と勘が必要だ。むろん運も。
漁師という仕事のことだ。新年早々、青森・大間の漁師さんに
幸運の女神が舞い降りた。東京の築地市場の初競りで、
大間のクロマグロが5649万円の市場最高値で競り落とされた。

広大な築地市場はいくつもの競り場に分かれている。
近海物の天然クロマグロは市場の最奥、王の王座のような
位置で競りを待つ。「海のダイヤ」とまで称される魚の貫禄だろう。
ところが、そのダイヤ、海外勢に買い負けることしばしばだった。
ことしは東京のすしチェーン店社長が落札した。その言葉がいい。
「海外ではなく日本の皆さんに食べてもらいたかった。みんなで頑張ろう
と景気づけをしたい」

通常価格で提供されたそうだ。宣伝効果を計算した上での入札には
違いないが、太っ腹の社長に拍手を送った人は多かっただろう。
その調子、その調子、沈滞が続く日本経済もその調子で上向いて
くれるといい。クロマグロが泳ぐ速度は最大で時速80~90キロそうだ。
眠るときも泳ぎはやめないで一生を泳ぎ続けて餌の魚を捕るという。
泳ぎ続けるマグロの景気のいい落札劇だった。なにやら活を
入れられた気分になった。

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