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真の政治家

英国の名宰相チャーチルといえば、二十世紀の保守主義を代表する
政治家だが、若いころは選挙で幾度か苦汁をなめた。三十三歳で
商務長官になった直後に、落選したこともある。

所属する保守党が保護貿易主義的な関税政策を打ち出した時は、
反対して党内で孤立し、野党の自由党に鞍替えした。自由党員として
古巣を批判して曰く(いわ)く。<保守党というのは政党ではない。
あれは共謀そのものである>と。

三年前の夏、総選挙で国民の多くは民主党に「政党」の姿を期待した。
広辞苑を引くと、政党とは<共通の原理・政策の実現のために、
政権の獲得あるいはそれへの参与を企画する団体>とある。
 
明確な公約は示さず、当選すれば白紙委任されたかのように振る舞う。
派閥抗争に明け暮れ、政策は官僚機構に丸投げ。そういう旧来の
自民党型政治ではなく、新たな政党政治が見られるはずだった。

チャーチル流に言えば、民主党は既に政党ではなく共謀のかたまりだ。
共通の原理・政策という政党の柱を失い、ただ政権にしがみつくという
共謀関係でしかない党が分裂するのは当然ともいえる。

チャーチルはこんな言葉も遺(のこ)している。<とんでもない数の嘘が
世間に出回っている。最悪なのは、嘘の半分が真実だということだ>。
増税だけは決まり、福利が見えない「社会保障と税の一体改革」
など、その好例ではないかと思う。

 

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