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2013年10月 Archive

読書の秋

夜の長さを実感できるようになってきました。この季節は
書棚に押し込められたり、机の周囲に積まれたりした本が
気になるときでもある。それらの本を見ると、繰り返し手にしている
お気に入りの1冊が目に入る。読んだのは1度だけの本でも。
読みきることなく放りだされた積読(つんどく)本もある。

そして、本を見れば本と自分との関わりが見えてくる。
手にしただけで何十年か前に初めて読んだときの感動が
よみがえるものさえある。そういうふうに本と接してきたが、
最近は本をめぐる事情が少し変わってきたようだ。
紙を使わない電子書籍が増えてきた。

電車に乗れば文庫本を手にするのが当たり前の世代。
しかし、今では小型の端末画面に触れながら読み続ける姿が
自然に見えるようになった。形は違っても活字を追う姿に、
むしろ安心感を覚えたりする。

読書週間が始まった。昨日は文字・活字文化の日でもある。
文字が生まれ、本が誕生してからの人との関わりに思いを
巡らすのもいい。手書きから印刷に。紙を使わぬ書籍も。
いずれにせよ、人が魅力的な本との出合いを求めているのは
変わらない。出合えたとき、それは至福のときだ。
そんな本を探す秋もいい。

旅の醍醐味

旅の醍醐味には二つある。一つは旅先での観光や
人々との交流、その土地ならではの味覚など。もう一つは
列車や船、車など移動そのもので、各駅停車の列車も
一気に行く飛行機や新幹線も途中の景色や料理を
味わえる車も、それぞれに楽しさがある。

各地から紅葉の便りが届き、秋の観光シーズンの
真っ最中だ。テレビなどで全国の観光スポットが紹介
されることも多くなり、旅心をくすぐる。旅は疲れた心と体を
優しく癒してくれるだけでなく、新しい発見や体験を
演出する。

JR九州の豪華観光寝台列車「ななつ星in九州」の運行が
始まった。ヨーロッパのオリエント急行を意識した日本初の
クルーズトレインだ。九州の自然や食べ物、温泉、歴史、
文化などを堪能でき、贅を尽くした車内の造り、
企画内容の豪華さには目を見張る。

7両編成ながら定員はわずか30人。1泊2日コースでも
最低1人15万円かかるが、予約は来年3月まで満杯
という。運行の背景には鉄道事業の低迷があるほか、
九州以外から乗客を呼び込み、地域活性化につなげる
狙いもあるという。贅沢旅行への賛否はあろうが
無事故運転の運行をを願う。 

山が襲う

なぜこうも非常なのか。と天を恨みたくなる。台風に伴う記録的
大雨により、東京・伊豆大島(大島町)で土石流が発生し、
死者と不明者が合わせて50人近い惨事となった。日々の平和を
喜びとする罪のない人ばかりだろうに。そう思うとやりきれません。

午前2~3時と言えば、たいがい安らかに寝入っている頃だ。
そこを土石流に襲われたのだから、ひとたまりもない。伊豆大島は、
火山で知られる三原山が形づくる島だ。人々は幾たびもの噴火に
苦しみながら山と共存してきた。が、長年にわたり降り積もった
火山由来の土砂は大量の雨を含み、"魔物"に変じた。


気象庁は再三、大島町に注意を喚起し、都も住民避難を提案して
いたとか。だが、町は避難勧告を出さなかった。町長も副町長も不在で、
電話連絡を受けての判断だった。町にいて雨の激しさを直接、
体感していたら、判断は違っていたかもしれない。

被害は小さくできた可能性があり、反省点は多い。この惨事を
各自治体は教訓として生かさなければならない。それが亡くなった
方々への最大の供養にもなるはずだ。

故三浦綾子さんは、小説「泥流地帯」で、1926年(大正15年)の
十勝岳噴火がもたらした火山泥流の恐ろしさを、こう描写されている。
貧しくとも誠実に暮らす農村を一瞬にして埋め尽くす山津波の猛威・・・
その非常さは何度読み返しても息が詰まる。

「キズナ」の挑戦

競馬の世界最高峰レースといわれるフランスの凱旋門賞
(がいせんもんしょう)に日本から「キズナ」(3歳牡(おす))が出た。
期待されたが、4着に終わった。日本馬初制覇の悲願達成は
ならなかった。「世界の壁はすごく厚い。歴史の重みを感じた」
との調教師の談話があった。敗れはしたが、日本の「きずな」を
世界に広めた意味は大きかったのではなかろうか。

もともと「絆(きずな)」とは馬をつなぎとめておく綱(つな)のことだ。
そこから、人間同士の心と心のつながりを意味するようになった。
先の東日本大震災後に被害者同士や支援者と結ぶ言葉
として一気に広まったのはご存知の通りだ。

だが、言葉は使われすぎると軽くなり、輝(かがや)きを失う。
震災後の「きずな」もそれに似ている。被災者支援や早期復興を
叫んでも軽々しく感じられる時があるようになった。
「きずな」が悪いのではない。時間の経過による人間の
慣れが怖いのだ。

「きずな」は「ともだち」などとともに世界に広がった。だが、
本当につながりを深めるには言葉には常に新しい息吹(いぶき)
を吹き込む努力が大事ではなかろうか。「キズナ」の挑戦が
考えさせてくれたことである。

善意の救助

善意の救助がわが身の犠牲に変わる悲劇に、語るべき言葉は
見つからない。横浜市緑区のJR線の踏み切りで、倒れていた男性を
助けようとした女性会社員が列車にはねられ、亡くなった。とっさの
判断で、女性は一段低いレールの間に男性を引きずって移動させたらしい。
車両との隙間が35センチほどある。重傷を負ったが,男性はこれで
助かった。しかし女性は列車を避ける時間がなかった。

「見て見ぬふりができない子でした」と、ご両親が気丈にテレビの取材に
答えていた姿が痛々しい。わが胸に問うた人は多いだろう。同じ場面に
遭遇して、警報が鳴る踏切りに駆け込めただろうかと。JR山手線で
ホームから転落した人を助けようと韓国人留学生ら2人が死亡したのは、
2001年だった。07年には遮断機をくぐって自殺を図った女性を助けようと、
警官が亡くなっている。

転落防止の可動式ホーム棚(ホームドア)を導入した駅では、
転落事故が激減している。高額費用が普及の足かせだが、人命には
代えられまい。踏切りでも立体交差化など安全策を急ぎたい。横浜市の
現場には、女性の死を悼む人たちが大勢、訪れているという。
事故のない踏切への工夫は何かないだろうか。尊い犠牲を無駄に
しないためにも、何か知恵はないだろうか。

わが国の経済

消費税率を3%から現在の5%に引き上げた平成9年度、
わが国の経済は、翌年度マイナス成長に転じてしまった。
来春8%に引き上げる今回は、どうなるだろうか。

前回と今回、何が異なるかと考えてみると、高齢化が進んで
社会保障費が増大し、財政再建が待ったなしであること、
経済がグローバル化し、企業経営の先行きが見えにくくなって
いること、が挙げられる。
安倍晋三首相は先日、消費増税による景気の腰折れを心配して、
5兆円超の歳出増を伴う経済対策も発表された。

合わせて、企業減税を進め、設備投資や賃上げを促す方針だ。
企業は過去最高の200兆円超の資金を抱えているが、
投資や賃金に回らない。企業をバックアップ、カネを動かして、
デフレ脱却を狙う。この企業優先策が、うまく回り出せばいいが、
もし変わらなければどうなる。

私たちの暮らし向きは、増税と保険料アップなどで、苦しくなる
だけである。懸念されるのは、国民から吸い上げた増税分が、
年金、医療、介護の立て直しや少子化対策に約束どおり使われず、
企業減税の補充になってしまわないか、という点だ。そうなると
財政再建の道は危うい。

 

くじ運

3桁や4桁の、自分で好きな数字を選ぶ「ナンバーズ」、
さらに六つ、七つ、の数字を選ぶ「ロト」のくじをけっこう
よく購入する。前者は当たれば内緒の小遣いに、後者は
もちろん一攫千金を夢見てだ。

これまでに小銭を得たことはあるが現実はなかなか厳しい。
いつも決まった数字で、それをたまたま購入できなかった
次の日、それが2等なんてこともあった。この時初めて
「自分にくじ運などないのだ」ということを思い知らされた。

4桁は金融機関の暗証番号と同じ。使うのを控えるようにと
される誕生日や、車のナンバー、語呂合わせなど・・・
思いつく数字はたくさんある。そういう想定した数字は
「当たり」としてけっこう出現する。それを購入する
タイミングに"運"がない。

1口200円(ロトは300円)。無料でロトの攻略法や
当選番号を教えますーといったいかにも怪しい宣伝文句がある。
先日はある都市で「ロト7」の当選番号を教えるという手口で
大金をだまし取られる詐欺事件が発生しており要注意だ。

ちょっとしたきっかけで始めたナンバース買い。たまの当たりの
千円を、元が取れたとちょっと喜ぶくらいが身の丈なのか。 

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