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湯タンポ

「子供の頃の夜の記憶につきものなのは、湯タンポの匂いである」
冬になると風邪をひきやすくなるため、風呂は一晩おきで
その代わりに湯タンポを寝床に入れてもらえたと
作家の向田邦子さんは『子供たちの夜』でつづっている。

母がヤカンからお湯を注ぎ、口金を締めて
古くなった湯上げタオルで包み
火傷をしないよう丁寧に紐でゆわえた。
翌朝までホカホカと暖かく
そのお湯で顔を洗ったことなどを思い出す。

ショッピングセンターやホームセンターで
湯タンポが売れているようだ。
灯油価格、電気やガスの料金の値上げで、暖房費節約のため
今冬は湯タンポ使用者が増えているそうだ。
景気の先行きが不透明な中
冬支度を前に消費者は節約の知恵を絞っている。

幼いころ、冷たい寝床に入ったら足先に湯タンポがあった。
母の愛情を感じた。
今冬はそんな思い出を孫に話しながら
思い出をつくってやりたい。

(M.N)

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