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チャーチル

英国の政治家チャーチルは「一晩で考えを変える人だった」
軍拡競争を批判したが、戦争不可避を鋭く感じ取ると一変。
海軍大臣に就き軍備増強を始め、
軍艦の燃料を石炭から石油に変えた。
速度が出るからだ。

石油の安定供給に遠い時代。冒険もあったが、
可能になれば海軍力は増す。
大国が植民地支配を競い合う第一次大戦前夜、
チャーチルにはこれを「支配権は冒険に対する褒美」と表現した。

その供給を英国から一手に引き受けたのがいまのBP社、
メキシコ湾で原油流出事故を起こした国際石油資本だ。

事故から3カ月、密閉バルブを取り付けて流出がやっと止まった。
推計で7億リットルが流れ出た。
それまでの最大規模はアラスカでのタンカー事故で
約4千万リットル。膨大さが分かる。
環境への深刻な影響もどんどん明らかになろう。

第一次大戦中、フランスのクレマンソー首相は米大統領あてに
「石油の一滴は血の一滴」と打電し、石油供給を求めた。
国家の血流にも例えられる石油は、陸上でも、浅い海でも掘り尽くし、
今は深海で掘る。今回は海底1500メートル。

何かあれば”冒険の褒美”どころか、
冒険の代償となり、環境破壊にもつながりかねない。
チャーチルのように一晩ではとはいかないが、環境負荷の少ない
新エネルギーをそろそろ真剣に考えなければ。

先日、ジェクト社長のブログでチャーチルの広大な屋敷を知ったが、
スケールの大きな人物だったんだなあと久々に感慨無量。

(M.N)

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