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扇風機

夕顔。ひまわり。ふうりん草。松風。
昭和30年、40年代は草花の名を打った扇風機が多かった。
羽根は明るい若葉色や薄青色が主流だった。
とにかく「涼を感じて」という心意気がにじんでいた。

エアコン全盛期でも、しぶとく生き残る身近な生活家電だ。
いま、目の前でも小型の卓上扇が風をくれている。
近ごろは黒や白、銀の無彩色が好まれるようだ。
寒色系よりも冷たく感じるから不思議だ。
人の趣向は変わるものだ。

むしろ戦前は黒一色だった。はやりの呼び名は「電気扉」。
1927年の業界団体の冊子に、そう呼ばないと時代遅れだとまで
言わしめている。(大西正行「生活家電入門」技報堂出版)

江戸時代には手車で数枚のうちわを回転させるカラクリがあったらしい。
隔世の感があるのは、話題の羽根のない扇風機だ。
ぬれた手を温風で乾かすエアタオルと同じ原理を用い、
圧力差で回りの空気を集めて風を送り出す仕組みらしい。

リング型の奇抜なデザインだ。扇のない姿を扇風機と呼べるのかは別として、
固定観念を覆す発想は、ぜひ政治も見習いところ。
ねじれを生かす知恵を絞りきれないまま臨時国会は閉じた。
確かに熱いが、空気はよどむ。まさに風死す印象だ。

(M.N)

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