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伝統文化

最近,「団扇(うちわ)」や「扇子」「簾(すだれ)」など、
難解ながらも、どこか懐かしさが感じられる漢字を目にする
機会が多くなった。

東日本大震災に伴う巨大地震と大津波、原発事故で、
15%を目標とする節電が求められる今夏、
先人の知恵が見直されていることが背景にある。
器用な手先に加え、知恵と工夫で暑い夏を乗り切ってきた
伝統文化に視線が注がれている。

このうち最も庶民的な「団扇」は、中国の発祥で
紀元前3世紀には存在したといわれている。丸(団)いもので
あおぐの意味があり、古くは貴人の日よけ、戦国時代には
軍配に活用され、江戸時代には役者絵や美人画などを挿入した
うちわが普及したという。

日本三大有名うちわに「京団扇」「讃岐(丸亀)うちわ」
「房州うちわ」がある。扇部を支える柄を手に持ち、
強弱の手加減で自然な涼風を提供する。
夏場の販促グッズとしても人気が高く、各家庭には
知らず知らずのうちに常時数本のうちわが備えられていた。

節電の夏を迎え、うちわ事情にも異変が生じている。
年間生産量が1億本余りと国内生産量の9割を占める
香川県丸亀市では、例年より1カ月早く5月から本格生産を
開始したそうだ。しかし想定外の注文殺到に生産が追い付かず、
関係者はうれしい悲鳴を上げているという。

梅雨入り後の蒸し暑さにたまりかね、あったはずのうちわを
探すが見つからない。例年、この時期から始まるPR用の
無料うちわ配布も見掛けず、需要に供給が追い付かない事情に
思わず納得した。一過性の現象に終わらせず、
伝統文化の永続的な継承にも結び付けたいものだ。

(M.N)


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