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駅舎

久しぶりに東京駅へ行って驚いた。工事の覆いが取れ、
タマネギのようなドームをはじめ復元された駅舎が姿を
現していたからだ。赤レンガに白い窓枠がよく映える
堂々たる威容にしばし目を奪われた。
尖塔(せんとう)などの装飾が豊かで、ヨーロッパの町にでも
迷い込んだような光景だ。

1914(大正3)年の東京駅開業時の建造で、日銀本店などを
手掛けた建築界の重鎮、辰野金吾先生の設計だった。
45年の空襲でドームや3階部分が焼失。今回の工事が始まるまで
半世紀以上の"仮設"状態だったといえよう。

駅の復元といえば、東京スカイツリーのお膝元、東武鉄道
浅草駅も話題だ。約80年前に建てられた7階建て駅舎は
74年の改修でアルミ材の外壁で覆われていた。これを取り去って
シックな外観と時計塔がよみがえった。

どちらの駅も、町の中心的存在だった駅という存在を当時、
いかに大事なものかと思っていた証拠ともいえよう。ひるがえって
昨今の駅舎といえば、なんとも貧相な建物ばかりに見えるのだが。

新幹線の駅は駅名の看板を外せばどこだか分からなくなるような
ものばかりだし、善光寺を意識したのか寺院風で趣のあった
旧長野駅などもとうに壊され、コンクリートの箱になった。

たかが駅舎と侮るなかれ。駅はその町の玄関だ。
降り立ったときに、おやっ、いい雰囲気だな、と思わせれば、
町への印象も変わってくる。地域のシンボルにふさわしく、
誇りを持てるような駅舎のデザイン、たたずまいを考えてみては
どうだろうかと、昔を振り返って偲ぶ一人だが。

 

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