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ノーベル賞

 「人間万事塞翁(さいおう)が馬」。
ノーベル医学生理学賞受賞が決まった山中伸弥・京都大教授は、
研究者としての歩みをつぎのように例えられる。人生の幸・不幸は
予測できないものだ、と。決して順風満帆ではなかった。
そんな思いを込めた言葉らしい。

挫折の連続だったという。研修医時代、手術が下手で、
普通なら20分で終わるところを2時間かかった。教官から
名前をもじって「じゃまなか」と呼ばれたとか。こんな話を聞くと、
日々、青息吐息で日々の生活と格闘している身には
なにやら親近感が沸いてくる。

脊髄損傷や重症のリウマチなど根冶療法のない患者が
多いのを見て、研修医時代から心を痛めてもいた。
「彼らの治療法を開発するには基礎研究しかない」。そんな思いも
あって、研究者に転身する。これが世界を驚かせた人工多能性
幹細胞(iPS細胞)開発につながる。本当に人生は分からない。

iPS細胞は「万能細胞」だ。病気やけがで失った組織を
よみがえらせる再生医療や難病の研究に新たな可能性を開いた。
「一日も早く応用し、社会貢献を実現したい」「難病の患者さんは
希望を持って」。山中教授のはやる思いが伝わってくる。

研究を理解してもらえず、一時、うつ状態になったこともあった。
そんな試練も「治らない病気を治るようにしたい」の一念で乗り越え、
画期的な成果を挙げた。とはいえ「実際に患者を救うまでは、
ノーベル賞を喜んでばかりもいられない」と山中教授は言われる。
そんな人だからこそ、日本中が受賞を祝福しないではいられない。

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