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伝統と革新

幕が上がると中村勘九郎さん、七之助さん兄弟が
男女の鳥売りの姿で現れる。一幅の日本画を見るようだ。
女性客からは「きれいね」との声が漏れた。

舞踊「吉原雀(よしわらすずめ)。流麗で息の合った
2人の動きが目を奪う。新しくなった東京・歌舞伎座で
観劇の機会があった。今春以降こけら落とし公演が続き、
9月は若手俳優がそろう花形歌舞伎で場内はにぎわう。

老舗が改築されると、昔ながらの風情が失われることが
よくある。しかし建物は外観も内部も建て替え前の雰囲気を
保っていた。建築家隅研吾さんの設計の妙か、違和感がない。
伝統と現代が調和していると感じた。

昨年暮れには兄弟の父である中村勘三郎さん、今年に入り
市川団十郎さんと歌舞伎界は大きな柱を相次いで失い
危機感が広がった。今回は若手を中心に新作「陰陽師
(おんみょうじ)に挑戦している。歌舞伎の継承には、
その殿堂と同様に伝統と革新の両立が求められる。

老舗菓子店の職人から聞いたことがある。売り上げの核と
なっている名物の菓子があっても、常に新たな商品の開発を
続けなければならないのだそうだ。職人の心と技を磨くことで
銘菓の伝統の味が守られるという。

古典の芸をしっかり継承しながら、新作にも取り組む
若手の俳優による舞台を見ていると、重責を担う
心意気が伝わってきた。

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