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2024-08-25
今年のお盆休みは遠出せず、都内をぶらぶら歩き。
その一つが「赤坂プリンス クラシックハウス」での
ディナーが付いた見学会でした。
この建物は、以前赤坂プリンスホテルの「旧館」と呼ばれ
隣には丹下健三の設計で1983年にできた40階建ての「新館」
があり、小泉純一郎氏が現役の時は旧館で毎月朝食会を行い、
私も時々参加したので、この建物には馴染みがあります。
1983年築の「新館」
さて新館の「赤プリ」は2011年に営業を終了して、まだ
30年経たない建物の解体が始まったのです。私はその時
何ともったいないことをするのだろう、と思いました。
その跡地には2つの高層ビルが建築され、一つは29階まで
商業施設とオフィス、30~36階がホテルの「紀尾井タワー」
もう一つは24階建ての高級賃貸「紀尾井レジデンス」です。
紀尾井町タワー
紀尾井レジデンス(左側)
幸い旧館は「赤坂プリンス クラシックハウス」として残り、
説明会でこの建物が1930年に旧朝鮮王室の李王家の東京邸
として建てられたことを初めて知りました。RC造2階建て
中世イギリスの住宅をイメージさせるチューダー様式を基調
とする設計は旧宮内庁によるもの。
戦後これを改装して1955年、客室35室の赤坂プリンスホテル
が開館したのです。この建物は2011年に東京都の有形文化財
に指定されて、再開発計画の中で保存が決まりました。
そして2棟のビル工事のため建物を南東方向に44m曳き家して、
あとから増築された部分を撤去してベランダを設け、創建当時の
姿を復元させ、さらに再活用のためバンケット部分を増築。
90年を超えた旧李王家の邸宅、赤坂プリンスホテルの
原形をゆっくりと体験できる形になったのは、築30年で
疑問もなく解体する今の日本ではとても貴重です。
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ページ作成日 2024-08-25
2024-07-29
「歴史伝える住宅 後世に」という新聞の見出し。
都内の自治体で江戸や近現代の歴史的住宅建築を復元する
動きが相次いでいるという報道で、武蔵野市では吉祥寺の
「旧赤星鉄馬邸」を保存活用するとのこと。
アントニン・レーモンドが設計した、1934年竣工の鉄筋
コンクリート造の住宅が3年前市に寄贈され、これを耐震化し
保存・活用しようというもので、残念ながら公開期間は終了。
次に載っていたのが小平市にある彫刻家・平櫛田中(ヒラグシ
デンチュウ)が晩年暮らした1968年築の旧宅と美術館。
私はこの彫刻家をよく知らなかったのですが、1872年に
岡山県で生まれ、1897年上京して高村光雲の門下生に。
その後岡倉天心などの影響を受け、仏教や中国の故事などを
題材にした作品を残した近代日本を代表する彫刻家でした。
長らく台東区に住んでいた田中が玉川上水の風景が気に入り
戦前に小平の土地を購入。1970年98歳の時ここに自宅を
建て転居。この設計は国立能楽堂などを設計した大江宏が手掛け
田中は107歳で亡くなるまでここで現役を続けたとのこと。
彼の作品の中で最も有名な一つ、国立劇場にある「鏡獅子」の
1/4のスケールのものが展示してありました。昭和11年から
20年をかけて創られたこの像は、昭和初期以降、邪道とみなされ
ていた彩色の使用を試みながら、生れた傑作だったようです。
玄関脇の樹齢500年の楠の巨木は、田中が100歳のときに購入、
「鏡獅子」に匹敵するものをまだ彫るつもりだったという。
私は今まで木彫は馴染みがなかったのですが、楠木正成の
「楠公」や松尾芭蕉を描いた「蕉翁」など、館内は撮影禁止
だったので、購入した立派な作品集を見て楽しんでいます。
「楠 公」
「蕉 公」
「良寛上人」
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ページ作成日 2024-07-29
2024-05-27
この春、新聞に「江之浦アート×観光」という見出しで
「江之浦測候所」が紹介され、初めてこの施設のことを知り
すぐあとNHKの日曜美術館でも取り上げられていました。
世界的な写真家で現代美術作家の杉本博之氏が構想から20年
を費やして2017年に開所。箱根の外輪山を背にギャラリー棟
石舞台、茶室など敷地全体の設計も自ら行ったとのこと。
東海道線で小田原の2つ先の根府川駅で下車、送迎バスで
相模湾を見下ろしながら丘陵地を5,6分上がって行くと
眼下に真鶴半島の一部まで見渡せる駐車場がありそこで下車。
「甘橘山」の表示の脇から山道を登ると途中に「Stone age Café」
と刻まれたカフェが。テーブルとカウンター席は自然石を加工
したもので、この山で取れた柑橘の飲物がとても美味しい!
入口に着くと右側には「明月門」。室町時代に建てられた
鎌倉のお寺の門が関東大震災で半壊して都内に移築され、後に
根津美術館の正門として使われていたものが寄贈されたそうです。
そして右奥には長さ100mのギャラリーが。素晴らしい建築で
これは「夏至光遥拝ギャラリー」と名付けられ、先端部は
海に向かう持ち出しの展望スペースで、壁面は大谷石が積まれ
もう片方は全面ガラスで、屋根が片持ち梁のため柱は1本もなし。
夏至の朝、海から昇る太陽光がこの空間を数分間照らすのです!
また冬至の朝は「冬至光遥拝隧道」と名付けられたトンネルを
貫くのですが、この上部は絶好の撮影ポイントになっています。
最後になぜ「測候所」なのか?このように建物の中心線を東に
延ばせば、夏至と冬至の日に水平線から昇る太陽の位置に合致する
ように設計されているところから来たのでしょう。
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ページ作成日 2024-05-27
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