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2024-01-26
新聞の神奈川版に「山口蓬春と吉田五十八」の見出しと
「日本画家と建築家“同窓の誼”」のサブタイトル。
葉山の山口蓬春記念館についての記事でした。
日本画にも興味はあるのですが、近代数寄屋づくりの
第一人者、建築家の吉田五十八が改築を担当したとの
ことで、建物もぜひ見てみたいと先日訪問しました。
神奈川県立近代美術館
JR逗子駅からバスに乗り、海岸べりの神奈川県立
近代美術館の前で降り、一色海岸を望む小高い丘の
途中に建物が見えてきます。蓬春は昭和23年から
亡くなる46年までこの地で過ごしました。
戦前の世田谷の自宅は吉田五十八の設計で、昭和初期に
建てられたこの葉山の建物を購入したあと、再び五十八に
よって昭和28年に新画室などを増改築したのです。
山口蓬春は明治26年、北海道で生を受けました。大正4年
東京美術学校(現東京芸大)の西洋画科に入学、その後日本
画科に転じたのですが吉田五十八とは同級生だったそうです。
蓬春の作品を見ていると、マティスを思わせるような
対象物を黒線で囲んだ今まで違う作品があって、西洋画科
に在籍していたベースがあって生み出されたのかも。
解説を読むと戦後フランス絵画にも接近し、時代の感覚を
取り入れた新しい日本画を目指し、「蓬春モダニズム」と
呼ばれる独特の日本画の世界を創り出していった…。
吉田五十八も日本の伝統様式の数寄屋造りを独自に近代化し
日本の建築美を後世に伝えた建築家なので、この二人の
芸術家の作品を同時に体験できる素晴らしい記念館でした。
テーマ名
ページ作成日 2024-01-26
2023-12-25
年の瀬が迫った日曜日は昨年と同様美術館巡り。
今年はテレビで皇居三の丸尚蔵館のオープンが
報じられたのを見て、お堀端に的を絞りました。
皇居大手門
昭和天皇が崩御したあと、残された絵画などの美術品
が1989年に国に寄贈され、その収蔵庫として1993年
に皇居東御苑に建てられたのが三の丸尚蔵館でした。
平成に入り東御苑自体の入園者が増加するのに従って
尚蔵館の入館者も増えて手狭になり、建て替えが行われ
先月開館、2026年完成の第2期工事も始まっています。
皇居東御苑
さて皇居の大手門に着くと今までは見なかった
入場者の荷物チェックが行われていました。
門をくぐるとすぐ右に尚蔵館はあったのですが既に
予約でいっぱいで、内部の見学は次の機会に。
三の丸尚蔵館
そのあとお堀端を日比谷方向に戻って帝国劇場へ。この
建物名は“国際ビルジング“でオフィスも混在している複合ビル。
初代の帝劇は1911年の開場で、1966年には谷口吉郎の
設計により隣接の三菱地所の建物と共同ビル化されました。
この2代目は演劇・ミュージカルの聖地として有名ですが
私はまだここでの観劇のチャンスに恵まれません。
出光興産はここを本社とし、9階には創業者・出光佐三
の収集した美術品を展示するための美術館を設置。
収集は日本と東洋の古美術が中心でこの日は「青磁」の
特集でしたが、私の好きなジョルジュ・ルオーのコーナーも。
ジョルジュ・ルオーの絵画
中には茶室もあり、館内ロビーからは皇居外苑が一望
できる素晴らしい立地の建物も、体験できるのは再来年まで。
そのあと壊されて再開発…。残念ながら都内の昭和時代の
多くの名建築がたどる道を歩むようです。
テーマ名
ページ作成日 2023-12-25
2023-11-29
先日、帝国ホテルを視察する会に参加しました。
今の建物は1970年(昭和45年)に完成の3代目です。
初代は1890年(明治23年)の開業。明治維新後、
外国人迎賓施設として建てられたホテルで経営会社の
株主は宮内省が筆頭で、渋沢栄一や大倉喜八郎の名も。
設計は鹿鳴館を設計したイギリス人のコンドルの教え子で
ベルリン留学帰りの新進気鋭の渡辺譲が選ばれ、ドイツ・
ネオ・ルネサンス様式の優美な建物が完成しました。
1909年(明治42年)には日本人初の林愛作が支配人に就任。
この頃から本館建替えの話が出てきて、それまでアメリカ
での勤務経験が長かった林の旧知の建築家、フランク・
ロイド・ライトに設計を依頼することになったのです。
2代目の開業日は1923年(大正12年)の関東大震災の日!
建物は軽微な損害で済み、低層でシンメトリーな建物は
大谷石と煉瓦が多用され、独特の雰囲気を醸し出していました。
それでも昭和40年代には雨漏りなどの問題から建替えが決定。
昭和45年に地上17階建ての今の3代目が完成したのです。
設計したのは前田侯爵邸や川奈ホテルを手掛けた高橋貞太郎。
今回館内を見学して、外観からは覗えないライトの意匠が
内部空間に色濃く残っていることが分かりました。
チャペルと茶室を見学した後「F・L・ライト・スイート」へ。
まず入口ドアには幾何学模様が施され、リビングからダイニング、
寝室にもライトの意匠が取り入れられ、宿泊費は150万円!
2階の「オールドインペリアル・バー」へ行くと、重厚なバー
カウンターを通って奥にある大谷石の壁は当時のものとのこと。
この3代目も再開発の波に呑まれて?建替えが決定。果たして
「4代目」にはライトの遺産を残すことができるのでしょうか。
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ページ作成日 2023-11-29
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